更新日:
2025/8/1

2014年に行われた税制改正により、すべての事業者に記帳業務が義務付けられるようになりました。しかし、個人や少人数で経営している企業の場合、多忙によりその記帳業務にあてる時間がとれないと悩むケースも多いのではないでしょうか。
このような場合に有効なのが、帳簿作成や会計ソフトへの入力を外注できる記帳代行です。記帳代行をうまく活用することで、経理担当者の負担軽減や業務効率の向上といったメリットが生まれます。
本記事では、記帳代行の仕組みや料金相場、外注する際の注意点などを徹底的に解説します。

記帳代行とは、企業の帳簿作成業務を代行してくれるサービスです。
事業を行っている以上、帳簿付けや会計ソフトへの入力作業は必須ですが、会社の規模によっては人手が足りず、帳簿作成業務を行っている余裕がないケースもあります。記帳代行は、このように忙しくて帳簿作成が困難な事業者に最適なサービスです。
記帳代行サービスは、主に税理士や会計事務所といった経理・会計の専門家が提供しています。しかし、記帳代行サービスは必ずしも税務申告まで含むわけではないので、なかには士業の資格をもたないで記帳代行サービスを主な業務とする会社も存在します。サービスの内容や料金は会社によってさまざまなので、複数社をよく比較して自社に合う会社を探しましょう。
記帳代行サービスのニーズが高まっている背景には、法制度の変化と経理業務の複雑化が深く関係しています。かつては、すべての事業者に記帳義務が課されていたわけではありませんでした。しかし、2014年(平成26年)の税制改正により、事業規模を問わず帳簿の記録と保存が義務化され、経理業務の重要性が一段と増しています。
さらに近年では、2023年のインボイス制度の導入、2024年の電子帳簿保存法の改正が、経理現場に新たな対応を求めています。たとえばインボイス制度では、仕入先ごとの適格請求書の登録番号確認や、取引先の区分に応じた帳簿記載など、従来以上に煩雑な処理が必要です。また電子帳簿保存法では、法令で定められた形式でのデータ保存が求められ、要件を満たさなければ税務調査で指摘されるリスクもあります。
このように、記帳業務は単なる入力作業ではなく、税務や会計の専門知識が求められる業務へと変化しています。とくに中小企業や個人事業主にとっては、本業と並行してこれらの対応を行うのは大きな負担となるため、外部に記帳業務を任せて業務効率を高めたいというニーズが高まっているのです。
記帳代行は税理士業務に含まれていないため、税理士法違反にはなりません。
そのため、税理士の資格を保有していない人でも記帳代行サービスを提供できます。資格不要だからこそ記帳代行サービスには多様な会社が存在し、豊富な選択肢のなかから自社に合うものを見つけられます。
ただし実際に帳簿作成業務を行う場合は、ある程度の知識を身につけているに越したことはありません。有資格者が在籍する会社に依頼したほうが、完成した帳簿の質が高くなり、自社で納品物をチェックする手間や時間を削減できるでしょう。
記帳代行サービスを選ぶ際は、少なくとも日商簿記2級以上の取得者がいるかをチェックしておきましょう。
記帳代行とよく似たサービスに経理代行がありますが、両者の違いは業務範囲にあります。
記帳代行の場合、帳簿付けや会計ソフトへの入力のみを行うことが一般的です。一方の経理代行では、記帳代行に加えて請求書の発行や支払いの代行など、幅広い業務に対応しているケースも珍しくありません。
その分、経理代行サービスのほうが料金が高額です。まずは必要な業務を洗い出したうえで、業務内容と料金のバランスがとれた会社に依頼するとよいでしょう。
記帳代行サービスでは、日々の経理業務の中でも特に手間のかかる処理をプロに任せることができます。主に以下の3つの業務が依頼対象となっており、作業の効率化やミスの防止に大きく役立ちます。
記帳業務の第一歩となるのが、領収書・レシート・請求書などの書類の整理です。記帳代行サービスを利用すれば、これらの書類を日付や支出内容ごとに仕分け・分類するところから対応してもらえます。また、経費として計上可能であるかの確認まで対応してくれる場合もあるため、仕訳ミスのリスクを減らす効果も期待できます。さらに、紙の領収書や請求書などをスキャン・データ化し、クラウド上で保存・管理できるオプションサービスを提供している業者もあります。
ただし、レシートや領収書の保管状況があまりに乱雑だと、必要な書類が抜け落ちていたり、経費計上が漏れてしまうおそれがあります。代行を依頼する場合でも、一定のルールに沿って整理・保管しておくことが大切です。
記帳代行サービスの代表的な業務のひとつが、会計ソフトへの入力作業です。通帳のコピーや請求書、領収書などの資料をもとに、適切な勘定科目で仕訳・入力を行います。会計ソフトの操作に慣れていない場合や、入力に多くの時間を割いている企業にとっては、大幅な工数削減につながる工程です。業者によっては、対応可能な会計ソフトが限られていることもあるため、依頼前に必ず確認するようにしましょう。
会計ソフトに入力されたデータをもとに、必要な帳簿の作成を依頼できます。作成を依頼できる帳簿は主に以下の通りです。
現金出納帳
預金出納帳
総勘定元帳
試算表
売掛残高一覧表
買掛残高一覧表
これらの帳簿は、資金の流れや経営状況を把握するうえで重要な参考資料となるものが多く、税務申告や決算に活用されるものもあります。対応している帳簿の種類はサービス提供者によって異なるため、希望する帳簿に対応しているかを事前に確認しておくと安心です。

記帳代行サービスを導入することで、経理業務の効率化やコストの見直し、帳簿の正確性向上などさまざまな効果が期待できます。ここでは、とくに実感しやすい4つの主なメリットについて解説します。
帳簿作成業務を外注することで経理担当者の負担を抑えられます。帳簿作成以外の給与計算や買掛金・売掛金管理といった業務に集中できるようになった結果、業務効率化につながります。経理担当者の人数が少ない企業や、本業に集中したい個人事業主に効果を発揮するでしょう。
経理担当者が不足した場合は、新たに担当者を採用する必要性が生まれます。しかし、帳簿作成業務を外注するだけで人員不足が解消できるような場合は、新しく従業員を雇うよりも記帳代行サービスを利用したほうが費用を抑えられる可能性が高いといえます。
経理・会計の専門家が提供する記帳代行サービスを利用すれば、帳簿作成業務の質向上につながります。帳簿作成業務における細かいミスの防止はもちろん、法改正にも迅速に対応しやすくなります。
記帳代行サービスによっては、税務申告や年末調整の手続きを代行してくれる場合があります。たとえば個人事業主として開業したばかりで、経理や会計に関する知識が不足している場合に有効です。
ただし、税務申告や年末調整の代行には税理士の資格が必要なので、依頼する場合は代行者のプロフィールをよく確認しておきましょう。

記帳代行サービスは多くのメリットがある一方で、活用にあたって注意しておきたいポイントも存在します。依頼前に以下のようなデメリットを理解しておくことで、利用後のトラブルやギャップを防ぎやすくなります。ここでは代表的な5つのデメリットについて解説します。
記帳業務を外部に委託すると、日々の取引の流れや仕訳の判断基準といった経理に必要な知識が社内に蓄積されにくくなります。とくに、将来的に社内で経理担当者を育成したいと考えている場合、この点はデメリットになるかもしれません。とはいえ、十分な知識がないまま自己流で経理処理を続けるのもまた、ミスやトラブルのリスクがあります。
こうした状況では、記帳業務を外部に任せながらも、代行業者が作成した帳簿や仕訳の内容を社内で確認し、把握しておくことが重要です。単に業務を任せきりにするのではなく、外部のプロによる処理を「学びの機会」として捉える姿勢が求められます。サービスの利用を通じて少しずつ理解を深め、将来的には経理担当者として自立できる体制を目指す。そんな前向きな使い方も、選択肢のひとつといえるでしょう。
記帳代行には特別な資格は必要ありませんが、記帳代行に加えて税理士業務を依頼する場合は、違法な業者と契約してしまうリスクが生じます。たとえば、税務申告や年末調整の業務を代行する場合は税理士の資格が必須です。
税理士の資格を保有していない方は、以下のような業務を行うことができません。
税務代理
納税者に代わって税務署へ税金に関する申告や申請を行うこと
税務署類の作成
納税者に代わって税務署に提出する申告書等を作成すること
税務相談
税務官公署に対する税務申告や陳述、課税計算などに関する相談を受けること
代行会社が無資格で上記のような税理士業務を行うと税理士法違反となります。その代行会社が作成した書類に署名捺印した場合でも、同様に税理士法違反となり、2年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられる可能性があります。
業務を委託している会社や個人事業主が罰せられることはありませんが、記帳代行をお願いしている会社が急に業務を停止するといった事態に陥った場合は代わりの会社を探すことも一苦労です。安いからと適当な業者にお願いすることはやめましょう。
記帳代行サービスを利用するということは、社外の第三者が自社の経理情報を扱うことになります。そうなると社内の秘密情報が流出してしまう可能性もゼロではありません。
記帳代行サービスを利用する場合は、セキュリティに強みがある代行会社を選びましょう。また、万が一の情報流出に備えて、秘密保持契約を結んでおく方法も効果的です。
秘密保持契約(NDA)とは?5点からなる書類の作り方【雛形あり】 |トドケールブログ
当然ながら、記帳代行を依頼すれば一定の費用が発生します。会計ソフトが普及している現在では、自社である程度対応できるケースもあるため、「代行にかけるコストは本当に見合っているか?」という点を慎重に見極める必要があります。
費用対効果を判断するには、どれだけ業務負担が軽減されるか、本業への集中時間が確保できそうかなどを具体的に予測・評価することが重要です。
記帳代行を依頼したからといって、すべての手間がなくなるわけではありません。業者に渡すための書類を準備したり、現金出納帳や通帳明細に補足情報を記載したりと、一定の事前作業や情報整理が必要です。さらに、書類に不備があった場合は業者とのやりとりが発生するため、意外と手間がかかると感じることもあるでしょう。「外注=すべて任せられる」と考えていると、期待とのギャップが生じるかもしれません。
記帳代行サービスを利用した場合の料金相場は次の通りです。

上記の金額はあくまで目安で、記帳代行サービスの種類によって料金が大きく変わります。
経理・会計の専門家である税理士事務所や会計事務所よりも、記帳代行の専門会社に外注したほうが費用を抑えられるケースも珍しくありません。また、フリーランスに依頼すると、交渉次第で料金が安くなることもあります。
ただし、必ずしも低料金のサービスだから良いわけではなく、サービスの質と料金のバランスに優れた代行会社を選ぶことが大切です。
記帳代行サービスを利用する場合、次のような流れに沿って手続きを行います。
どのような代行業務が必要かヒアリング
プラン決定・見積書の提示
代行会社へ領収書や経理書類を発送
代行会社による記帳・月次試算表の作成
依頼主に対する報告書の提出・承認
あらかじめ記帳代行にかかわる要望を整理し、必要な書類を準備しておくと手続きがスムーズです。

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自社の帳簿作成業務を外注できる記帳代行サービス。経理担当者の人員が不足する場合や、個人事業主で経理業務に割く時間が見つけづらい場合に大きな助けとなってくれます。
記帳代行は税理士業務にはあたらないため、法的リスクを気にせずアウトソーシングができます。
ただし、記帳代行とは別に税理士業務を一任する場合は、有資格者に依頼する必要があるので注意が必要です。また、秘密情報漏洩のリスクも考慮し、できるだけ信頼のおける代行会社を選ぶようにしましょう。
このようなリスクや注意点をよく理解しておくと、記帳代行のメリットを最大限に活用できます。
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