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秘密保持契約(NDA)とは?5点からなる書類の作り方【雛形あり】

更新日:

2024/11/7

ビジネスにおいて契約の締結前や契約中に秘密情報を開示するケースも珍しくありません。特に初めて契約を結ぶ取引先に情報提供する場合は、「本当にその会社が信頼できるのか」「提供した情報が不正利用されないか」と疑ってしまうこともあるでしょう。
そのような際に役立つのが秘密保持契約(NDA)です。秘密保持契約には、自社が提供する秘密情報の漏洩や不正利用を未然に防ぐ役割があります。
本記事では、秘密保持契約の特徴や作り方、無料で使える雛形をご紹介します。

目次

1. 秘密保持契約(NDA)とは

秘密保持契約(NDA)とは、自社が保有する秘密情報を他社に提供する際、その情報が漏洩・不正利用されないために結ぶ契約です。主に商談や取引において自社の秘密情報を開示する際に、任意で契約を結びます。

締結する目的は秘密情報の漏洩を防ぐため

秘密保持契約を締結する最大の目的は、自社の秘密情報が第三者に開示・漏洩されるのを防ぐためです。また、開示した情報を当該取引以外に活用されるのを防ぐことが目的となる場合もあります。
秘密保持契約を結びにあたり、秘密情報の開示側は受領側に義務や制約を課します。開示側は、「秘密情報の幅を広げたい」「利用目的を細かく制限したい」と考えるのが自然だからです。
一方で受領側は、「秘密情報の幅を狭めたい」「利用目的を広げて広範囲で活用したい」と考えるため、開示側と受領側のスタンスは真っ向から対立します。

契約書を作成するのは開示情報が多い側

秘密保持契約には、片務契約と双務契約の2種類があります。片務契約は一方の当事者のみが秘密情報を開示する契約方法で、双務契約は当事者双方で秘密情報を開示し合う契約方法です。どちらが秘密保持契約書を作成するかは、この契約方法の種類によって異なります。
片務契約の場合、秘密情報の開示側が契約書を作成するのが一般的です。
一方、双務契約の場合は、基本的に守るべき秘密が多いほうで作成するようになっています。守るべき秘密が多いということは漏洩した場合のリスクも大きく、より大きなリスクを負う側で手続きするのが合理的だからです。
ただし、どちらが作成すべきかは一概に言えるわけではないため、あらかじめ双方で確認し合って決めるのが一番だといえます。

秘密情報のやり取りが発生する前の段階で締結する

秘密保持契約を結ぶタイミングは、秘密情報が開示される前の段階で締結するのが望ましいでしょう。もし契約を結ばない状態で相手からの情報開示がなければ、こちらから提供した情報だけ不正に利用されてしまう恐れがあるからです。
また、秘密情報を提供する場合は、できるだけ秘密保持契約の締結後に情報を開示するようにしましょう。やむなく契約締結前に秘密情報を開示することがあっても、その後に契約締結が可能であれば締結しておくことが望ましいといえます。

契約書の有効期間は双方で決める

秘密保持契約書の有効期間は、双方の合意によって決定します。
技術情報をはじめとする重要情報を開示する場合は、契約期間が10年や20年と長期間に及ぶこともありますが、それ以外の場合は5年程度が目安とされています。
有効期間が長くなるほど、秘密情報の管理コストが高くなります。また、事業活動や創作活動などの自由が制限されてしまう可能性も考えられるため、秘密保持契約書の有効期間は必ずしも長ければ良いというわけではありません。

2. 秘密保持契約書に必要な5つの要素

実際に秘密保持契約書を作成する際は、次の5つの要素を含めるようにしましょう。

  • どんな内容を秘密情報として扱うか

  • 秘密情報を誰にどこまでの範囲で開示してよいか

  • 返還や破棄の要請時にどのように対応するか

  • 違反時にどのようなペナルティが発生するか

  • 秘密保持契約をいつまで有効にするか

このような要素をどのように文書化するか、記載例とともに解説します。

どんな内容を秘密情報として扱うか

どのような内容を秘密情報として扱うか、その定義を文章として記します。
開示者が提供する情報や取引に関する協議内容、交渉内容などを秘密情報として定めるのが一般的です。また、開示を受けた際に互いに認知済みの情報や受領側がすでに保有している情報など、秘密情報に該当しないものも条文に含めてくおくとよいでしょう。

【記載例】

第1条(秘密情報)

1.本契約における「秘密情報」とは、甲又は乙が相手方に開示し、かつ開示の際に秘密である旨を明示した技術上又は営業上の情報、本契約の存在及び内容その他一切の情報をいう。ただし、開示を受けた当事者が書面によってその根拠を立証できる場合に限り、以下の情報は秘密情報の対象外とするものとする。

① 開示を受けたときに既に保有していた情報
② 開示を受けた後、秘密保持義務を負うことなく第三者から正当に入手した情報
③ 開示を受けた後、相手方から開示を受けた情報に関係なく独自に取得し、又は創出した情報
④ 開示を受けたときに既に公知であった情報
⑤ 開示を受けた後、自己の責めに帰し得ない事由により公知となった情報

2.口頭、映像その他その性質上秘密である旨の表示が困難な形態又は媒体により開示、提供された情報については、開示者が相手方に対し、秘密である旨を開示時に伝達し、かつ、当該開示後○日以内に当該秘密情報を記載した書面を秘密である旨の表示をして交付することにより、秘密情報とみなされるものとする。

引用元:秘密情報の保護ハンドブック(参考資料2)|経済産業省

秘密情報を誰にどこまでの範囲で開示してよいか

当事者間の認識のずれを防ぐため、秘密情報を誰にどこまでの範囲で開示してよいのか、さらに管理する義務や管理方法についても規定を作成します。受領側は原則として第三者に情報を開示することができませんが、委託先や関連会社、弁護士への開示は可能といった例外を設けるケースもあります。

【記載例】

第2条(秘密情報等の取扱い)

1.甲又は乙は、相手方から開示を受けた秘密情報及び秘密情報を含む記録媒体若しくは物件(複写物及び複製物を含む。以下「秘密情報等」という。)の取扱いについて、次の各号に定める事項を遵守するものとする。

① 情報取扱管理者を定め、相手方から開示された秘密情報等を、善良なる管理者としての注意義務をもって厳重に保管、管理する。
② 秘密情報等は、本取引の目的以外には使用しないものとする。
③ 秘密情報等を複製する場合には、本取引の目的の範囲内に限って行うものとし、その複製物は、原本と同等の保管、管理をする。また、複製物を作成した場合には、複製の時期、複製された記録媒体又は物件の名称を別紙のとおり記録し、相手方の求めに応じて、当該記録を開示する。
④ 漏えい、紛失、盗難、盗用等の事態が発生し、又はそのおそれがあることを知った場合は、直ちにその旨を相手方に書面をもって通知する。
⑤ 秘密情報の管理について、取扱責任者を定め、書面をもって取扱責任者の氏名及び連絡先を相手方に通知する。

2.甲又は乙は、次項に定める場合を除き、秘密情報等を第三者に開示する場合には、書面により相手方の事前承諾を得なければならない。この場合、甲又は乙は、当該第三者との間で本契約書と同等の義務を負わせ、これを遵守させる義務を負うものとする。

3.甲又は乙は、法令に基づき秘密情報等の開示が義務づけられた場合には、事前に相手方に通知し、開示につき可能な限り相手方の指示に従うものとする。

引用元:秘密情報の保護ハンドブック(参考資料2)|経済産業省

返還や破棄の要請時にどのように対応するか

契約の終了時や相手方からの返還・破棄の要請時に問題なく対応できるよう、秘密情報の返還義務や破棄義務を根拠づける条文を作成します。

【記載例】

第3条(返還義務等)

1.本契約に基づき相手方から開示を受けた秘密情報を含む記録媒体、物件及びその複製物(以下「記録媒体等」という。)は、不要となった場合又は相手方の請求がある場合には、直ちに相手方に返還するものとする。

2.前項に定める場合において、秘密情報が自己の記録媒体等に含まれているときは、当該秘密情報を消去するとともに、消去した旨(自己の記録媒体等に秘密情報が含まれていないときは、その旨)を相手方に書面にて報告するものとする。

引用元:秘密情報の保護ハンドブック(参考資料2)|経済産業省

違反時にどのようなペナルティが発生するか

もし秘密保持契約書の条項に違反した場合、どのようなペナルティが発生するのか、損害賠償や差し止めなどの規定を設けます。

【記載例】

第4条(損害賠償等)

甲若しくは乙、甲若しくは乙の従業員若しくは元従業員又は第二条第二項の第三者が相手方の秘密情報等を開示するなど本契約の条項に違反した場合には、甲又は乙は、相手方が必要と認める措置を直ちに講ずるとともに、相手方に生じた損害を賠償しなければならない。

引用元:秘密情報の保護ハンドブック(参考資料2)|経済産業省

秘密保持契約をいつまで有効にするか

秘密保持契約における義務をいつまで負うのか、書面上に有効期限を明記します。

【記載例】

第5条(有効期限)

本契約の有効期限は、本契約の締結日から起算し、満○年間とする。期間満了後の○ヵ月前までに甲又は乙のいずれからも相手方に対する書面の通知がなければ、本契約は同一条件でさらに○年間継続するものとし、以後も同様とする。

引用元:秘密情報の保護ハンドブック(参考資料2)|経済産業省

3. 秘密保持契約書の作成手順

秘密保持契約書の作成手順は次の通りです。

  1. 当事者双方で契約内容を協議する

  2. 当事者の一方が契約書の原案を作成する

  3. 相手に原案を提出し、内容の確認と修正を行う

  4. 正式な書類を作成して互いに調印する

基本的に秘密情報の開示側は、「秘密情報の幅を広げたい」「利用目的を細かく制限したい」と考え、反対に受領側は「秘密情報の幅を狭めたい」「利用目的を広げて広範囲で活用したい」と考えるのが自然です。
このように秘密情報の定義や取り扱いなどに関する考え方や思惑は、当事者間で大きな開きが生まれやすいため、事前に双方で協議しておくことが望ましいといえるでしょう。
書類作成後は、必ず記名押印と日付を入れるようにします。記名押印や日付がないと、契約書の有効性が問題になることもあるからです。なお、電子署名やタイムスタンプを付与した電子契約書でも法的効力を持ちます。

4. 無料で使える秘密保持契約書の雛形

秘密保持契約書を作成する際は雛形(テンプレート)を利用するのが、時間も手間もかからず便利です。
経済産業省は「秘密情報の保護ハンドブック」にて、無料で使える秘密保持契約書の雛形を公開しています。171ページにある「参考資料2」を見ると、取引先向けや従業員向けの事例が確認できます。
よく企業のブログやメディアで秘密保持契約書の雛形を配布していることもありますが、できれば経済産業省の雛形を使うことをおすすめします。経済産業省は、営業秘密の安全性に関する法律「不正競争防止法」を所管する主務官庁であり、一定の信頼をおけるからです。

5. 秘密保持契約書を作る際の注意点

最後に秘密保持契約書を作成する際の注意点について解説します。

雛形を使う場合は内容を十分に検討する

雛形があると秘密保持契約書を簡単に作成できて便利ですが、面倒だからといって内容をそのまま使い回すのは避けましょう。
自社がおかれている環境や秘密保持契約を結ぶ目的に合うよう、個別に規定を定めることが大切です。雛形の内容をコピーして書面を作成してしまうと、既定に抜け穴が生まれ、守るべき秘密情報を保護できないリスクが生じてしまいます。
雛形を利用する場合は、条文それぞれの検討と確認作業が必須です。自社だけで対応が難しいときは、弁護士をはじめとする専門家に相談するのも方法の一つです。

場合によっては収入印紙が必要になることも

基本的に秘密保持契約書には収入印紙を貼る必要はありません。
収入印紙が必要になるのは、課税文書と呼ばれる契約書や受取書のみです。その課税文書は、印紙税法別表第1(課税物件表)で20種類の契約書や受取書が定められていますが、秘密保持契約書はそのいずれにも該当しません。よって秘密保持契約書には収入印紙が不要です。
ただし、取引基本契約書に秘密保持契約条項が含まれているケースもあります。この場合は、その取引基本契約書が課税物件表の事項に該当するようなら、収入印紙を貼る必要性が生まれます。
収入印紙と課税文書の関係性をより深く知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

経営者が覚えておくべき収入印紙の基礎まとめ【金額表付き】

6. まとめ

他社と取引をする際や新たに従業員を雇用する際などに用いられる秘密保持契約(NDA)。契約書を取り交わすことで、重大な情報の漏洩や不正利用のリスクを最小限に抑えられます。
秘密保持契約書を作成する際は、秘密情報の定義や取扱方法など5つの項目を必ず明記するようにしましょう。雛形を使えば簡単に作成できますが、自社の情報をしっかりと守るためにも、安易な使い回しは避け、契約内容を細かくチェックしたうえでの書面作成を心がけてください。

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