更新日:
2024/4/16

受取金額が5万円以上の領収書や、契約金額が1万円以上の不動産売買契約書などには、書面に収入印紙を貼る必要があります。収入印紙を貼る基準は文書の種類によって異なるため、正確に理解するのは難しいものです。
そこで本記事では、収入印紙を貼るべき文書の種類や印紙税額、経理処理の方法などを詳しく解説します。

引用元:収入印紙|Wikipedia
収入印紙とは、印紙税や登録免許税といった税金を支払うために発行される証票です。
契約書や受取書(領収書)など、経済的な取引をするために作成する書類には印紙税という税金が課されます。この印紙税に関しては、国に直接税金をおさめるのではなく、収入印紙と呼ばれる証票を購入して納税する仕組みです。
「収入印紙」とよく似た「収入証紙」という言葉があります。どちらも税金を支払うために発行される証票という意味では違いはありませんが、税金をおさめるべき対象が異なります。
収入印紙:国に対して税金を支払う
収入証紙:地方公共団体に対して税金を支払う
事業を営んでいくうえで収入印紙が必要になるのは、契約書や受取書といった経済的な取引をするための書類を作成したときです。この経済的な取引をするための書類を、「課税文書」と呼びます。
課税文書に記載された契約金額や受取金額が一定額を超えると、印紙税が課せられるため、収入印紙を貼らなければなりません。課税文書には、次のように20もの種類が存在します。
第1号文書:不動産売買契約書、土地賃貸借契約書、運送契約書など
第2号文書:工事請負契約書、物品加工注文請書、広告契約書など
第3号文書:約束手形、為替手形
第4号文書:株券、出資証券、社債券、投資信託・貸付信託の受益証券など
第5号文書:合併契約書、吸収分割契約書、新設分割計画書
第6号文書:定款
第7号文書:売買取引基本契約書、代理店契約書、業務委託契約書など
第8号文書:預金証書、貯金証書
第9号文書:倉荷証券、船荷証券、複合運送証券
第10号文書:保険証券
第11号文書:信用状
第12号文書:信託行為に関する証書
第13号文書:債務の保証に関する契約書
第14号文書:金銭または有価証券の寄託に関する契約書
第15号文書:債権譲渡または債務引き受けに関する契約書
第16号文書:配当金領収書、配当金振込通知書
第17号文書:商品販売代金の受取書、不動産の賃貸料受取書、保険金受取書など
第18号文書:預金通帳、貯金通帳、信託通帳、掛金通帳、保険料通帳
第19号文書:消費貸借通帳、請負通帳、有価証券の預り通帳など
第20号文書:判取帳
参考:印紙税額|国税庁
収入印紙の金額は、取り扱う課税文書によって異なります。
ここでは、主な課税文書ごとの収入印紙の金額を詳しく解説します。
第1号文書には、不動産や土地の賃借権、消費貸借に関する契約書が含まれます。
不動産、鉱業権、無体財産権、船舶・航空機、営業の譲渡に関する契約書
地上権や土地の賃借権の設定または譲渡に関する契約書
消費貸借に関する契約書
運送に関する契約書
具体的には不動産売買契約書や土地賃貸借契約書、金銭借用証書、運送契約書などの種類があります。
収入印紙の金額は次の通りです。

第2号文書には、請負に関する契約書が含まれます。たとえば工事請負契約書や工事注文請書、物品加工注文請書、広告契約書などが第2号文書に該当します。
収入印紙の金額は次の通りです。

なお、建設業法第2条第1項に規定する、建設工事の請負にかかる契約に基づき作成される請負契約書の場合、印紙税額が軽減されます。ただし、1997年4月1日から2024年3月31日までに作成された書類であることが条件です。
上記の要件を満たした場合、印紙税額が以下のように軽減されます。

第3号文書には、約束手形と為替手形が含まれます。
手形金額に記載がない手形は基本的に非課税です。ただし、金額を補充したときは、補充した本人が手形を作成したものとみなされ、納税義務者となります。
第3号文書の印紙税額は次の通りです。

第4号文書には、株券や出資証券、社債券、投資信託・貸付信託の受益証券などが該当します。収入印紙の金額は券面金額にもとづきますが、株券や投資証券については、1株(1口)あたりの払込金額に株数(口数)をかけた金額を券面金額とします。
第4文書の印紙税額は次の通りです。

第6号文書には定款が該当します。ただしこの定款は、株式会社や合名会社、合同会社などを設立する際に作成されるものに限ります。
第6号文書の印紙税額は一律4万円です。株式会社や相互会社の定款のうち、公証人が保存していない文書は非課税となります。
第7号文書とは、継続的取引の基本となる契約書です。売買取引基本契約書や特約店契約書、代理店契約書、業務委託契約書などの種類があります。収入印紙の金額は一律4,000円で、原則として非課税にはなりません。
ただし、契約期間が3ヶ月以内かつ更新の定めがない契約書は、第7号文書としては扱われません。
第17号文書には、以下のような受取書が含まれます。
売上代金にかかる金銭または有価証券の受取書
売上代金以外の金銭または有価証券の受取書
売上代金にかかる金銭の受取書とは、商品販売代金の受取書、すなわち領収書やレシートが代表例です。そのほか不動産の賃貸料受取書や借入金の受取書、保険金の受取書なども第17号文書にあたります。
収入印紙の金額は次の通りです。

続いて収入印紙の買い方や貼り方について解説します。
収入印紙はコンビニエンスストアや郵便局、金券ショップなどで購入できます。購入場所によって取り扱っている収入印紙の種類が異なるため、注意が必要です。
郵便局・法務局・役所:
31種類すべての収入印紙を扱っています。町中の小さな郵便局だと在庫が限られる場合があるため、事前に連絡をとっておくとよいでしょう。
コンビニエンスストア:
基本的に200円の収入印紙しか扱っていません。事前連絡すれば200円以外の収入印紙を取り寄せてもらえることもあります。
金券ショップ:
店舗によって取り扱う収入印紙の種類が異なりますが、額面より安い金額で購入できるメリットがあります。郵便局やコンビニエンスストアなどで購入する場合と違い、金券ショップでは消費税がかかることと、偽造品を購入してしまうリスクがある点には注意が必要です。
文書に収入印紙を貼る場合は、収入印紙の貼り付け欄に印紙を貼るだけです。貼り付け欄のない文書であれば、空きスペースに印紙を貼りましょう。

収入印紙を文書に貼り付ける際、収入印紙と文書の両面に印影がかかるように押印しなければなりません。これを「消印」と呼びます。この消印をすることではじめて印紙税を納付したとみなされるため、忘れないように注意してください。
消印にはシャチハタや日付印、ポールペンでの署名が認められています。
収入印紙を購入した際の会計処理について解説します。
収入印紙を購入した場合は、原則として「租税公課」の勘定科目を用います。
郵便局で200円の収入印紙を5枚、現金で購入した場合は、以下のように処理するとよいでしょう。

ただし、収入印紙を買い置きする際は、購入時に「貯蔵品」として計上し、実際に収入印紙を使用する際に「租税公課」として処理します。
仮に200円の収入印紙を5枚、現金で買い置きし、その後600円分の収入印紙を使用したとすると、会計処理は以下のようになります。
【購入時】

【印紙使用時】

郵便局や役所、コンビニエンスストアで収入印紙を購入する場合は、消費税がかからず、購入金額をそのまま記帳できます。しかし金券ショップだと消費税が発生するため、収入印紙と消費税を仕訳する必要があります。
たとえば、金券ショップで200円の収入印紙を10枚購入し、現金で1,950円支払った場合、次のように会計処理を行います。なお、消費税額は8%とします。

契約書や受取書といった課税文書に必要となる収入印紙。課税文書に記載された契約金額や受取金額が一定額を超えると、印紙税が課せられるため、収入印紙を貼らなければなりません。
課税文書や収入印紙について理解を深めておくと、過怠税というペナルティを未然に防げるほか、非課税文書に収入印紙を貼り付けるようなミスを最小限に抑えられるでしょう。
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