更新日:
2025/6/2

女性の働き方改革は、少子高齢化や労働力不足の解決策として重要視されています。女性がより活躍できる社会にしていくには、何が必要なのでしょうか。本記事では、女性の働き方改革を促進するための6つの施策と成功事例、取り組む企業に対して支払われる助成金制度や、女性活躍推進法のポイントを詳しく解説します。

日本では少子高齢化により生産年齢人口が減少し、労働力不足が深刻化しています。生産年齢人口は1995年の8,726万人をピークに減少し続け、2050年には5,275万人まで減ると予測されています。この労働力不足は日本の経済成長や企業存続に影響を及ぼす可能性があり、早急な対策が必要です。
加えて、育児や介護と仕事の両立を望む働き手が増える一方で、多様な働き方に対応できている企業はまだ限られています。とくに、日本の子育て支援は質・量ともに不十分であるため、育児期の女性が職場を離れざるを得ないケースも多く、労働力の活用における課題となっています。
こうした背景から、女性の活躍推進は労働力確保において不可欠な要素であり、企業にとっても重要な経営課題です。多様な人材が活躍できる環境を整えることで、採用力や企業のブランド価値が向上し、社会的な評価にもつながります。

女性が多様なライフステージにおいて活躍し続けるためには、職場環境の整備が不可欠です。本章では、女性の働き方改革を促進するための6つの施策について説明します。
女性が働きやすい職場環境を整えるには、出産前後のサポートを手厚くすることが大切です。産前産後休業の取得を奨励し、業務の引き継ぎ体制を整えることや、妊娠中の従業員が働きやすいよう、時差出勤や短時間勤務を導入することで負担を軽減できます。さらに、復職後の職場復帰を支援するため、業務調整や相談窓口の設置も有効です。また、同時に男性の育児休業取得も促進し、家庭全体で育児負担を分散させることも大切です。
職場内に託児所を設置することで、育児と仕事の両立がしやすくなり、女性の就業継続を支援できます。具体的には、保育施設の空きが見つからず復職が遅れるケースや、通勤と保育園送迎の両立が難しいという問題に対応できる点がメリットです。また、託児所に子どもを預けられることで、万が一の体調不良時にも迅速に対応できるという安心感から、従業員満足度の向上も期待できます。企業側にとっても、育児を理由とした離職を防ぎ、優秀な人材の確保につながることや、企業イメージの向上にも貢献する施策となるため、多くのメリットがあるといえるでしょう。
長時間労働が常態化すると、従業員の健康やワークライフバランスに悪影響を及ぼし、とくに育児や介護と仕事を両立する人にとっては大きな負担となります。そのため、企業は残業時間の管理を徹底し、適切な労働時間を維持する取り組みを進める必要があります。
業務効率化を進めるためには、無駄な業務の削減やITツールの導入が有効です。たとえば、紙ベースの申請業務を電子化して承認フローを効率化したり、経費精算にクラウドシステムを導入することで事務作業の手間を削減できます。さらに、業務マニュアルの整備やタスク管理ツールの導入によって、属人化を防ぎ、誰でもスムーズに業務を引き継げる体制が整います。また、勤怠管理システムを導入することで、従業員の労働時間を把握しやすくなり、長時間労働の改善につながります。
フレックスタイム制は、従業員が一定の範囲内で始業・終業時間を自由に決められるため、仕事と家庭の両立を支援する仕組みとして注目されています。とくに育児や介護を担う人にとって、保育園の送迎や家族のケアがしやすくなる点がメリットです。業務内容や個人のライフスタイルに応じた柔軟な働き方が可能になることで、従業員のモチベーションや業務効率の向上にもつながるでしょう。企業にとっても、フレックスタイム制の導入は多様な人材の確保や定着率の向上が期待できるなどのメリットがあります。
企業における女性のキャリア形成を促進するには、スキルアップの機会を提供し、管理職への登用を積極的に進めることが重要です。そのためには、社外研修への参加支援や、リーダーシップ研修の実施により、女性が管理職に必要なスキルを身につける機会を増やすことが求められます。また、評価基準を明確にし、性別を問わず公平に昇進のチャンスを与えることも大切です。社内でロールモデルとなる女性管理職の存在が増えることで、他の女性社員のキャリア意識向上につながるきっかけにもなるでしょう。
在宅勤務やテレワークの導入は、通勤にかかる時間と負担を大きく減らし、柔軟な働き方の実現に大きく貢献します。とくに育児や介護を担う従業員にとっては、保育園の送迎や家族の介助といった日常のケアと仕事を両立しやすくなる大きな支援となります。通勤時間が不要になることで、その分の時間を業務に充てられるようになるため、結果として生産性の向上が期待されます。テレワーク環境を整備すれば、地理的制約を超えて優秀な人材を採用できるため、人材確保の幅も広がるでしょう。また、オフィススペースの見直しによるコスト削減や、自然災害・感染症などの緊急時にも事業を継続できる体制づくりにもつながります。

テレワークを本格導入する企業が増える中で、意外と課題になりやすいのが「紙の郵便物の管理」です。オフィスに届いた郵便物を取りに行くためだけに出社している人も多く、これではリモートワークの妨げとなってしまいます。
こうした課題を解決するのが、クラウド郵便サービス『トドケール』です。届いた郵便物をアプリで読み取るだけで受取人の社員へ通知されるため、仕分けや回覧の必要がなくなります。また、通知を受け取った社員は、「PDF化」「転送」「破棄」などをワンクリックで選択でき、スキャンされた書類はクラウド上で内容を確認できます。
郵便対応もオンラインで完結する時代です。ぜひ『トドケール』を導入して、バックオフィス業務のDXを進めてみてはいかがでしょうか。

女性の働き方改革を推進する企業は増えており、成功事例からは多くの学びがあります。企業ごとの業界特性に合わせた女性の働き方改革の事例を参考にして、自社で取り組むべき施策を検討しましょう。本章では、実際に女性の活躍推進に成功した企業の具体的な取り組みを紹介します。
大塚製薬株式会社では、1980年代から年齢や性別、国籍を問わず多様な人材が活躍できる環境づくりを進めてきました。2007年には「ダイバーシティ推進プロジェクト」を立ち上げ、社内の情報共有や社員のモチベーション向上を目的とした施策を展開しています。
女性MR(医薬情報担当者)の採用にも積極的で、1996年には男女の採用人数が同数となりました。育児との両立支援としては、「Otsuka Women’s Workshop」を開催し、キャリア継続に対する意識を高めています。また、結婚に伴う退職を防ぐ「結婚時同居支援制度」や、短時間勤務・シフト勤務を可能にする「育児勤務制度」など、柔軟な働き方を支える制度も整備されています。
その結果、女性管理職の比率は7.7%、女性役員比率は13.0%となり、2014年には「ダイバーシティ経営企業100選」にも選定されました。今後も、多様な人材が働きやすい職場づくりを継続していく方針です。
建設機材のレンタル・リース業を営む拓新産業株式会社は、誰もが働きやすい職場を目指し、1993年に「完全週休二日制」と「有給休暇の完全取得」を導入しました。社内の反発もありましたが、「顧客満足より社員満足を優先する」というトップの強い意思のもと、営業体制そのものを見直して制度を定着させました。また、15分単位で使える短時間勤務制度の導入や、両立支援制度を周知するため「育児・介護ガイドブック」を作成しました。さらに、育児休業を取る社員が出ても対応できるよう、定期的な配置転換を行い、業務の属人化を防ぐ体制を整えています。
こうした取り組みにより、有給休暇の完全消化と残業ゼロに近い状態を実現し、離職率の低下につながっています。また、「福岡県子育て応援宣言企業」や「男女共同参画企業」などさまざまな賞を受賞し、働きやすい企業であると広く認知されたことで、就職希望者数が毎年増加しています。
東急電鉄株式会社は、少子高齢化や顧客の多様化に対応するため、ダイバーシティマネジメントを経営戦略の一環として推進してきました。2013年にダイバーシティ推進ワーキンググループを立ち上げ、翌年にはダイバーシティ・キャリア開発課を設置し、働きやすい環境整備を進めています。
1988年に女性総合職の採用を開始し、現在は女性の採用割合が約3割。鉄道現業職でも2001年より女性の正社員採用を始め、女性の活躍の場を広げています。また、育児休業の一部有給化により、男性の育児休業取得が増加。育児と仕事を両立しやすい環境を整えることで、管理職を含む多くの男性が長期の育児休業を取得し、育児への参加が進んでいます。
こうした取り組みにより、入社後の定着率が向上し、総合職の離職率は低水準を維持。柔軟な働き方の推進が評価され、「なでしこ銘柄」や「イクメン企業アワード」の特別奨励賞を受賞しています。
ブライダル事業を展開する株式会社ノバレーゼでは、土日祝日・夜間に勤務が集中する業界特性から、育児中の社員に対しては従来、配置転換で対応してきました。しかし、結婚・出産を迎える社員の増加と、現場の第一線で働き続けたいという希望に応えるべく、2014年に「キラキラ働こう!プロジェクト」を発足。現場の声を反映し、働き方の見直しに着手しました。具体的には、学校の行事や冠婚葬祭など、土日であっても休みを取得できる条件を明確化し、短時間勤務制度の対象を小学校卒業まで延長。さらに、勤務時間を1時間単位で選べる「フレックスキャリア制度」や、転居を伴わない「勤務エリア限定制度」を導入しました。これらの改革により、産休・育休からの復職率がほぼ100%となり、離職率の低下にもつながっています。

女性の働き方改革を推進する中小企業には、従業員が育児・介護と仕事を両立しやすい環境を整備する際に活用できる「両立支援等助成金」があります。これにより、企業は経済的な支援を受けながら職場環境の向上を図ることができます。両立支援等助成金には以下の種類があります。
1. 出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)
男性従業員が育児休業を取得しやすい環境を整えた上で、実際に男性従業員が育休を取得した中小企業が対象です。
2. 育児休業等支援コース
育児休業を取得しやすい制度の導入や、職場復帰を支援する仕組みを整えた中小企業が対象です。
3. 介護離職防止支援コース
介護休業の取得・復帰に取り組み、仕事と介護の両立を支援するための制度を導入した中小企業に支給されます。
4. 育休中等業務代替支援コース
育児休業中の従業員の業務を代替するため、新たな人材の雇用や業務の分担を実施した中小企業が対象です。
5. 柔軟な働き方選択制度等支援コース
短時間勤務制度やフレックスタイム制、在宅勤務など、従業員が多様な働き方を選べるような仕組みを複数導入した中小企業に支給されます。
6. 不妊治療両立支援コース
不妊治療と仕事を両立できるように、休暇制度の整備や勤務環境の改善に取り組み、従業員が実際に制度を利用した中小企業が対象です。
これらの助成金を有効活用し、経済的負担を軽減しながら従業員の働きやすさを向上させましょう。詳細な要件や最新の支給条件については、厚生労働省の公式サイトをご確認ください。
女性活躍推進法(正式名称:「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」)は、女性が能力を十分に発揮し、職業生活で活躍できる社会を実現するために2016年に施行されました。複数回の改正を経て、対象となる企業の範囲が拡大し、女性活躍の推進が企業の義務として強化されています。
2022年4月の改正により、従業員101人以上300人以下の企業も、女性活躍に資する行動計画の策定や情報公開が義務付けられました。これまでは従業員301名以上の企業が対象でしたが、改正によって拡大されています。東京労働局が公開している「行動計画策定かんたんガイド」も活用しながら、自社に合った行動計画を強化していきましょう。
2020年6月以降、情報公開のルールが拡充され、従業員301人以上の企業にはより詳しい情報開示が求められるようになりました。対象となる企業は、「女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供」と「職業生活と家庭生活の両立」に設定された項目の中から、それぞれ1項目以上、合計2つ以上の情報を公開することが義務づけられています。さらに、2022年7月からは「女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供」に関する項目に「男女の賃金の差異」が加わり、公開必須の項目になりました。
女性活躍推進法では、企業に対して行動計画の策定や届出、情報の公開が求められていますが、これらを実施しなかった場合でも、法的な罰則は設けられていません。ただし、こうした取り組みを怠ることは、企業の信頼性や社会的評価を損なう恐れがあります。人材の採用や定着に悪影響を及ぼすだけでなく、将来的な事業成長の妨げになる可能性も否めません。
企業の魅力を高めるためにも、女性が活躍できる環境を整え、誰もがいきいきと働ける職場づくりを進めていきましょう。
女性の働き方改革は、企業の成長と持続可能な社会の実現に欠かせません。本記事で紹介した施策や成功事例からも分かるように、柔軟な働き方の導入や両立支援制度の充実は、女性の就業継続を後押しし、企業の競争力を高める要因となります。また、助成金制度を活用することで経済的な負担を抑えながら導入できる点がメリットです。女性活躍推進法の改正により、企業にはよりいっそうの取り組みが求められています。今後も、社会の変化に対応しながら、すべての人が能力を発揮できる職場環境を整えることが重要です。
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