更新日:
2024/4/16

公益通報者保護法は、2006年に施行された法律です。この法律は、内部告発をした通報者の保護を目的とし、通報制度が効果的に機能するために施行されました。しかし、施行後も「通報者の保護が十分ではなく不当な取扱いをされている」「通報制度が効果的に機能していない」といった問題が指摘されてきました。
こういった状況を踏まえ、通報者の保護や効果的な通報制度の実現のため、2022年6月に公益通報者保護法の法改正が施行されました。本記事では、公益通報者保護法の改正内容について詳しく解説します。
2022年6月に施行された公益通報者保護法の一部改正について知る前に、そもそもこの法律がどのようなものなのか知る必要があります。なぜなら、公益通報者保護法がどのような目的で定められたのか知らずに改正内容だけを見ても理解しにくいからです。ここでは、公益通報者保護法の概要と改正の目的について詳しく解説します。
そもそも公益通報者保護法とは、従業員が内部通報をしたことで解雇などの不当な取扱いを受けないよう通報者を保護する法律です。この法律は、2004年に制定され、2年後の2006年に施行されています。この法律は、社内の違法行為などを通報する通報制度を効果的に機能させるために必要不可欠になります。
しかし、改正前のままだと、通報制度などを設立する義務がなかったことから、効果的に機能していない状態でした。この現状を受けて、政府は通報制度の補強と通報者の保護を図るため、2020年6月12日に改正案を公布し、2022年6月1日に施行されました。
(参照:「公益通報保護法と制度の概要」消費者庁)
公益通報者保護法の改正は、制度自体の補強と公益通報者の保護を図ることを目的として施行されています。では、具体的にどのような改正内容で施行されたのでしょうか。通報者保護法の法改正内容は次のとおりです。
公益通報(内部通報)に適切に対応できる体制の整備
1の実効性を確保のために行政措置を導入
通報者を特定させる情報の守秘
権限を有する行政機関への通報の条件を改正
報道機関などへの通報の条件を改正
権限を有する行政機関への通報に適切に対応できる体制の整備
保護される人の追加
保護される通報の追加
保護の内容の追加
上記の9つの法改正内容について詳しく解説します。
法改正により、公益通報に適切に対応できる体制の整備が義務化されました。具体的には、通報に対し社内調査や是正措置をとる公益通報対応業務従事者の認定義務や、通報窓口の設定、従業員が通報をしたことで解雇などの不当な取扱いの禁止などが挙げられます。
これらの新たな義務により、通報が行いやすくなり、よりクリーンで働きやすい環境の整備が期待できます。ただし、従業員300人以下の中小事業者に対しては努力義務となっています。なお、公益通報保護法11条の具体的な適用については指針とその解説が公表されており、それらを参照しながら社内の体制や制度を整備することが望ましいです。(公益通報者保護法第11条)
先程解説した、通報に適切に対応できる体制の整備の実効性を確保するため、内閣総理大臣は事業者に対して行政措置を取れるようになりました。具体的な内容として、助言や指導、勧告、勧告に従わない場合、公表できます。これにより、通報に適切に対応できる体制の整備が円滑に進むことが期待されます。(公益通報者保護法第15条・第16条)
通報者を特定させる情報の守秘が義務化されます。具体的には、通報者を特定させる情報を漏らした場合、規定に違反したとみなされ、三十万円以下の罰金に処されます。この改正により、通報者の不当な取扱いが減少することで、通報制度が効果的に機能し、社内の違法行為や不正行為などを取り締まりやすくなることが期待されます。(公益通報者保護法第12条・第21条)
行政機関へ通報する場合、法改正前の権限を有する行政機関への通報の条件は、信じるに足りる相当の理由がある場合の通報のみでした。しかし、改正後の権限を有する行政機関への通報の条件は、氏名などを記載した書面を提出する場合の通報が追加され条件が緩和されました。この改正により、通報したことを理由にした解雇を無効にしやすくなり、従業員の不当な取扱いが減少することが期待されます。(公益通報者保護法第3条2項)
改正前の報道機関などへの通報の条件は、生命・身体に対する危害のみでした。しかし、改正後の条件には、財産に対する損害と通報者を特定させる情報が漏れる可能性が高い場合が追加されました。この改正により、通報したことを理由とした解雇を無効にしやすくなり、従業員の不当な取扱いが減少することが期待されます。(公益通報者保護法第3条3項)
公益通報者保護法十三条第一項にて、通報された行政機関は必要な調査を実施し、事実が認められる場合、適切な措置をとらなければならないと定められています。ここでとる措置を適切なものにするため、法改正により通報に適切に対応できる体制の整備が義務化されました。この改正により、従業員への不当な取扱いが減少することが期待されます。(公益通報者保護法第13条第2項)
通報者がより保護されやすくなるよう、保護される人が追加されます。改正前の保護される人は、労働者のみでした。しかし、改正後は退職後一年以内の退職者や役員が追加されます。この改正により、従来までの法律では保護できなかった人を保護できるようになり、不当な解雇が減少することが期待されます。(公益通報者保護法第2条第1項)
法改正により、保護される通報が追加されます。改正前の保護される通報は、刑事罰の対象のみとなっていました。しかし、改正後は行政罰の対象が追加され、保護される通報の範囲が拡大します。従来までの法律では保護されない通報が追加で保護されることで、不当な取扱いを受けていた従業員が減少することが期待されます。(公益通報者保護法第2条第3項)
保護の内容は、法改正前にはありませんでした。しかし、改正後に通報に伴う損害賠償責任の免除が追加されます。具体的には、公益通報された事業者が通報者に対して、通報が理由で損害を受けたことで賠償を請求できなくなります。
この改正により、従来以上に通報者が保護されるため、不当な取扱いを受けたくないことを理由として通報制度を利用しないといったことが減少することが期待されます。
(公益通報者保護法第7条)
本記事では、公益通報者保護法の改正内容について詳しく解説しました。法改正されることで、通報に適切に対応できる体制の整備が行われ、通報制度が効果的に機能することが期待されます。また、通報が行いやすくなることや通報者が保護されやすくなることで、公益通報者保護法の進化が発揮されることでしょう。
公益通報者保護法や公益通報制度を理解し、適切な社内整備について考えてみてください。
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