更新日:
2024/4/16

近年、「戦略総務」という新たな考え方が広まりつつあります。
企業にとって総務部は、経営陣の立場となって取引先と対応し、社内各部署における設備環境などメンテナンスするなどなくてはならない存在です。従来の総務部は、社内各部署から要望や指摘により動いたり、イベント運営を陰で支えたり受け身の立場でした。
これからの総務部が戦略的であることは、攻めの部署になることと考えられます。戦略的総務とは、従来の総務部とどのような違いがあるのでしょうか。
今回は、戦略的総務部について従来の総務部との違いなどを解説します。戦略的総務を目指すために必要な取り組みもあわせて紹介するので興味のある方は、ぜひお役立てください。
総務部といえば、「何でも屋」と表現されるほど社内のお助けマン的存在ではないでしょうか。実際に総務部の担当業務は、次のような業務をこなすマルチプレーヤーです。
総務の仕事は、会社の備品発注や管理などを担当します。発注する備品類は、次のようなものです。
文房具
コピー用紙
電話
コピー機
パソコン
机
椅子
備品や機器などの物品を管理することが仕事。とくに消耗品に関しては、不足しないように個数など在庫チェック・発注する役割もあります。
総務は、施設管理やメンテナンスも仕事のひとつです。社員が快適な環境で働けるように、空調や照明機器などの点検、調整など業者に依頼したり、場合によっては自分で修理したりする場合もあります。
施設管理だけではなく、施設のメンテナンスでは、清掃業者や防災点検、OA機器の修理メンテナンスなど専門業者への依頼も担当します。とくに法律で定められている防災訓練や公的機関からの指導では、会社を代表して計画実施する立場です。
総務の仕事は、会社というコミュニティの運営を重要な責務としており、社内イベントや取引先との交流などで企画運営の中心になります。社内イベントとして考えられる主な行事は次のとおりです。
入社式
社員総会
忘年会
社員旅行
総務は、社内イベントにおけるスケジュールの調整や予算設定、会場の予約準備など企画運営を担当します。また、取引先との交流行事なども企画運営に携わることが考えられるでしょう。イベント運営を通じた部署間交流の活発化や社員の団結力向上は総務の重要なKPIです。
総務は、取引先企業との契約関連の管理も担当します。とくに施設管理を外部委託している場合は、外部委託業者との契約面における交渉や新規業者との打ち合わせなど総務の役割となるでしょう。特に近年では大企業がコワーキングスペースを本社としてみるなどオフィスの形が大きく変わりつつあり、どのようにツールを使いこなし、魅力的な働き方を整えるかは企業にとって重要な戦略の一つです。
企業によれば、来客や電話、郵便物・配達物などの応対を総務が兼務するケースも少なくありません。受付専門のスタッフがいなければ、会社の窓口的な役割を担当します。来客があった際は、担当者とつなぎ応接室へ案内したりお茶出しをしたり接待も総務の仕事です。
戦略的総務が必要となった背景は、コロナを機に会社組織の在り方を見直す状況が考えられます。
株式会社月刊総務の調査結果によると、コロナ対応で総務の業務量が増えている総務部が全体の6割以上となっています。業務量が増えている背景には、新型コロナウイルス感染症対策として、社員の健康状態の管理や消毒、三密対策の実施などが考えられます。
参照元:約8割が総務の仕事を社内にアピールできず。総務は「なんでも屋」「雑用係」のイメージ | 月刊総務オンライン
株式会社月刊総務の調査結果によると、調査対象の総務部のうち戦略的な総務を実践している企業は全体の4割程度のようです。その要因は、経営層や他部署に対して総務の仕事をアピールできていない点が挙げられています。
参照元:約8割が総務の仕事を社内にアピールできず。総務は「なんでも屋」「雑用係」のイメージ | 月刊総務オンライン
戦略的総務とは、従来の総務部のような社内における受け身的な存在ではなく、企業の前線に立ち、自ら戦略的な仕事をすることではないでしょうか。経営陣や社内各部署から依頼を受けてから動くのではなく、会社全体の将来を考えて戦略的に動くことが戦略的総務だと考えられます。
戦略的な総務と一般的な総務には、どのような違いがあるのでしょうか。具体的に比べてみましょう。

戦略総務を目指すためには、どのような取り組みが必要となるのでしょうか。総務が変わるための必要な取り組みを3つ紹介します。
戦略総務では、会社を変える意識をもって挑戦する姿勢が不可欠です。総務の仕事が上手くいくだけではなく、会社全体が良い方向に変わる当事者意識の姿勢をもって取り組みます。特に働き方改革では人事とともにその先頭に立つ役割が期待されます。
そのためには測定可能なKPIを設定し、自分たちの取り組みがどのような効果を会社にもたらしているのかを明確に示し、常に改善を目指す姿勢を示す必要があります。定量的なKPIを設定することは勇気が必要な行為です。一方、自分たちの成果や貢献を明確に示す機会を作り出すことでもあります。
KPIの一例
Pulse Surveyによる働き方への従業員の満足度調査
オフィスや残業代などのコスト削減額の測定
会議室や備品など、ファシリティ稼働率の測定
保有設備資産圧縮によるROA改善率 等
戦略総務は、社内外と積極的な関係性を構築して情報共有できる仕組みづくりが必要です。
総務が下す大きな決断の一つに「持つか、持たざるか」の意思決定があります。オフィスや備品など、多くの物理的なモノを取り扱う総務では、「運用コストを固定費にするのか、変動費にするのか」を意識する必要があります。
例えば、総務の機能をBPOを活用してアウトソースすることは、運用コストを変動費にすることを意味します。一方、自社で総務人材を採用し、総務機能を持つことは総務の運用コストを固定費(もしくは準変動費)にすることを意味します。PCなどの設備備品を購入する際には固定資産にするのか、リースにするのかを決断することも同様に変動費と固定費の議論に関わってきます。
どちらが低いコストで高い価値を提供できるのかを検討したうえで、長期的な会社の方針との整合性を確認しながら意思決定を下すためには、社外と積極的に関係性を築き、世の中の情報にアンテナを張りながら、最適な総務の形を目指す必要があります。戦略的な総務は他社の総務と関係性を築き、オフィス見学などを頻繁に行い、多くのオプションを持っているものです。
戦略総務は、組織全体の業務変革につながります。総務部が手本となり、会社の風土や労働環境を見直すために率先して業務改革に取り組むことが大事です。業務改革では、効率化を進めるためのツールを導入したり、専門分野において外部人材へ委託したり適材適所で外部能力を有効活用します。
とりあえず、人を採用して人力で解決するという選択もあり得ますが、日々の運用コストだけではなく、採用にかかるコスト、退職のリスク、新人の教育コストなど多様な側面を考慮したうえで、最適な総務の形を選択するためには、外部人材や外部ツールを知るために展示会や他社との情報交換を定期的に行う必要があります。
本記事では、戦略総務の概念や一般総務との違いについて解説してきました。また、戦略総務を目指すために必要な取り組みについても紹介しました。一般的な総務は、各部署からの要望を受けて動き出すような存在でした。
戦略総務では、総務が便利屋の要素を持ったまま自らのアイデアで会社組織を変革していく攻めの取り組みになります。そのため、経営陣や各部署からの要望を待つ受け身の体制ではなく、自部署から提案していく能動的な体制に切り替えて前向きにアピールしていきましょう。
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