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副業制度における勤怠管理の具体策!通算ルールを踏まえた手法を解説

更新日:

2025/7/16

パーソル総合研究所が2021年に公表した調査データによると、副業を容認している企業の割合は55%にのぼります。働き方改革によって副業を解禁する企業が増えるなか、副業制度を導入しようと検討している事業者の方も多いのではないでしょうか。
そこで課題となるのが、副業制度における勤怠管理の難しさです。副業制度を導入する場合は、通算ルールを適用させる必要があり、従業員の総労働時間や管理方法をよく理解しておかなければなりません。
本記事では、副業制度を導入する際の勤怠管理方法を徹底的に解説します。

目次

1. 副業・兼業時代に求められる勤怠管理とは?

最近では、副業や兼業を認める企業が増えてきています。これに伴い、企業には柔軟かつ正確な勤怠管理の仕組みを整えることが求められています。また、政府も副業・兼業を推進しており、企業は従業員の「収入を増やしたい」「スキルを伸ばしたい」といったニーズに応えつつ、労働時間の管理や健康への配慮、法律を守ることにも対応しなければなりません。

しかし、副業・兼業を認めることは、企業にとっても大きなメリットがあります。

柔軟な働き方を推進する企業としてイメージ向上が期待できるほか、従業員のスキルアップにもつながります。この時代の流れに適応することは、決してネガティブなことばかりではありません。

2. 副業・兼業の形態によって勤怠管理の対応は異なる

副業・兼業とひと口にいっても、その形態によって企業側が取るべき勤怠管理の方法は大きく異なります。対応を誤ると、労働基準法違反や健康リスク放置といった問題につながる可能性があるため、形態ごとの違いを正しく理解しておくことが重要です。

主な副業・兼業の形態は以下のとおりです。

  • 雇用型副業(正社員・パート・アルバイトなど)

  • 非雇用型副業(フリーランス・個人事業主など)

それぞれの形態別に、必要な対応について詳しく解説します。

雇用型副業(正社員・パート・アルバイトなど)

企業と「労働契約」を結んで働く場合、本業と副業それぞれの労働時間を合算して管理する必要があります。通算した労働時間が法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えた場合に割増賃金の支払い義務が発生するのもこの形態です。

副業先だけでなく、本業側でもこれらを踏まえた労務管理体制が求められます。また、長時間労働による健康リスクにも配慮する必要があり、安全配慮義務を果たすことも企業に求められます。

非雇用型副業(フリーランス・個人事業主など)

業務委託契約に基づいて働く場合、労働時間の通算管理義務はありません。

ただし、企業には健康リスクへの配慮義務(安全配慮義務)が引き続き課されます。たとえば、従業員が本業と副業を合わせて過重労働にならないよう、注意を促したり相談体制を整えたりすることが望ましいでしょう。

3. 副業における労働時間管理について

副業・兼業を認める場合、とくに雇用型副業(正社員・パート・アルバイトなど)では労働時間の適切な管理が欠かせません。この場合、本業と副業それぞれの労働時間を合算して管理し、法定労働時間を超えないようにする必要があります。ここでは、雇用型副業における労働時間管理の基本的なルールと管理方法について詳しく見ていきましょう。

雇用形副業制度には通算ルールを用いる

2020年9月1日、「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が改定されました。これにより副業制度を採用する事業者は、労働基準法第38条第1項にもとづき、労働時間を通算して管理しなければなりません。これを「通算ルール」といいます。
たとえば、自社の所定労働時間が1日5時間だとしても、副業として働く先で3時間の勤務を行っていれば、合計8時間の労働時間になるということです。このように副業をしている従業員の労働時間は、自社とほかの企業で通算する必要があります。
厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」によると、労働時間の通算が必要となるケースは、「労働者が事業主を異にする複数の事業場において、労働基準法に定められた労働時間規制が適用される労働者に該当する場合」と定められています。
ただし、個人事業主として業務委託や委任、請負など労働時間規制が適用されないような副業を行っている場合は、その労働時間は通算されません。

本業と副業の労働時間を通算し総労働時間内におさめる

本業と副業で通算した労働時間は、法定労働時間と36協定で定めた時間外労働時間の範囲内におさめなければなりません。法定労働時間は1日に8時間、1週間に40時間までという上限があります。
法定労働時間を超過する場合は、あらかじめ労働組合と時間外労働時間について取り決めを結び、行政官庁に届け出る必要があります(36協定)。協定を結ぶ場合でも、原則として月45時間、年360時間という上限が設定されている点には注意が必要です。
副業をする従業員の勤怠管理を行う場合は、法定労働時間や時間外労働時間を超過しないよう細心の注意を払いましょう。

参照元:労働時間・休日 |厚生労働省
参照元:時間外労働の上限規制|厚⽣労働省

通算ルールを超えた場合に割増賃金を支払うのはどちらの企業?

副業・兼業で通算した労働時間が1日8時間・1週間40時間の法定労働時間を超えた場合、企業は超過した時間について割増賃金(残業代)を支払う必要があります。このとき割増賃金を支払うのは「後から労働契約を結んだ企業」が原則です。

たとえば、従業員が先にA社で働いていて、あとからB社で副業を始めた場合、通算して労働時間が法定上限を超えたときは、原則としてB社が割増賃金を支払います。

ただし、例外もあります。企業側に、従業員の労働時間が法定労働時間を超えるという認識がありながらも本業の勤務時間をさらに延長させた場合には、本業先(先に労働契約を結んだ企業)が割増賃金を支払う義務を負います。

つまり、

  • 原則は「後から契約した企業」

  • 例外は「延長させた側の企業」

このように整理できます。

4. 雇用型副業における具体的な労働時間管理法

実際に副業制度がスタートすると、具体的にどのような勤怠管理が必要になるのでしょうか。ここでは、副業制度における労働時間管理法について、具体的な事例を踏まえて解説します。

  • 所定外労働時間の通算

  • 管理モデルの導入

所定外労働時間の通算

本業と副業で通算した労働時間が法定労働時間を超えた場合、割増賃金の支払義務が発生します。ただし、所定外労働時間が発生した場合でも、法定労働時間を超過しなければ割増賃金を支払う必要はありません。
わかりやすいように例を提示します。

【企業A(本業)】

  • ①所定労働時間:4時間(8~11時)

  • ②当日発生した所定外労働時間:1時間(11~12時)

【企業B(副業)】

  • ③所定労働時間:3時間(13~16時)

  • ④当日発生した所定外労働時間:2時間(16~18時)

企業Aでは所定外労働時間が発生したものの、合計労働時間は法定労働時間の8時間以内におさまっています(①+②)。また、企業Aの労働時間と企業Bの所定労働時間を通算しても8時間なので、法定労働時間の範囲内です(①+②+③)。
しかし、企業Bの所定外労働時間(④)を通算すると法定労働時間を超えてしまうため、超過した2時間分の割増賃金を支払う必要があります。
この例ではA社とB社でともに所定外労働時間が発生しましたが、どちらか一方で所定外労働時間が発生しない場合は、次のようなルールが適用されます。

  • 自社(本業)で所定外労働がない場合、所定外労働時間の通算は不要

  • 副業先で所定外労働時間がない場合、自社の所定外労働時間のみ通算する

管理モデルの導入

厚生労働省では、企業と従業員の負担を軽減できる労働時間管理の方法として「管理モデル」の導入を推奨しています。管理モデルの具体的な仕組みは次の通りです。

  1. 本業先の所定外労働時間と副業先の労働時間を通算する

  2. 法定労働時間を超えた時間数が時間外労働の上限(※)になるよう、両社の上限時間を設定

  3. 両社が設定した上限時間の範囲内で従業員を労働させる
    ※時間外労働の上限:単月100時間未満、複数月平均80時間以内

このような手続きを経ることで、上限時間の範囲内で労働させる限り、副業先の実労働時間を把握せずとも労働基準法を遵守できるようになります。
法定外労働時間が発生した場合は、時間外労働が発生した企業が割増賃金を支払う必要があるものの、本業先と従業員との間で労働時間を申告し合う手間がかかりません。

5. 副業の労働時間管理を行う際の注意点

副業の労働時間管理を行う際は、次の3つのポイントに注意しましょう。

  • 通算ルールが適用されないケースがある

  • 4つの義務に対応できるか検討しておく

  • 労働者の自己管理が原則となる

それぞれの注意点について詳しく解説します。

通算ルールが適用されないケースがある

通算ルールを適用する必要があるのは、労働基準法が適用される就業形態のみです。それ以外の就業形態には、フリーランスや監事、顧問理事など、業務委託契約を結ぶようなものがあります。こうした仕事は雇用契約を結ばない以上、通算ルールが適用されません。
ほかにも農業従事者や管理監督者といった、労働基準法の労働時間制度が適用されない副業を行う場合も労働時間を通算する必要がありません。

4つの義務に対応できるか検討しておく

副業や兼業の制度を導入する際は、4つの義務に対応できるか十分に検討する必要があります。以下で紹介する観点を参考に社内ルールを設けると良いでしょう。

  • 安全配慮義務
    労働者の健康を害する可能性が高い副業に従事する場合に、その仕事を禁止・制限できるようにする。副業によって労働者の健康状態に問題が生じた場合に、適切な措置を講じられるようにしておくなど。

  • 秘密保持義務
    自社の秘密情報が漏洩する可能性が高い場合に、副業を禁止・制限できるようにする。秘密情報の範囲や情報漏洩に関して注意喚起を行うなど。

  • 競業避止義務
    競業によって自社の正当な利益を害する場合に、副業を禁止・制限できるようにする。競業行為の範囲や禁止事項に関して注意喚起を行うなど。

  • 誠実義務
    副業によって自社の名誉や信用を損なう行為を行った場合、その仕事を禁止・制限できるようにするなど。

労働者の自己管理が原則となる

通算ルールを踏まえた副業制度を実施する際は、労働者による時間管理が前提となります。労働者が本業・副業の総労働時間を管理し、上限に近づいた段階で使用者に報告しなければなりません。ただし、労働者の判断によっては、法定労働時間や過労死ラインを大幅に超過して働くことも可能になってしまいます。そのため、総労働時間や健康状態の管理について、定期的に注意喚起を行う必要があるでしょう。

6. 副業の勤怠管理に役立つツール

最後に、副業の勤怠管理を行ううえで役立つ2つのツールをご紹介します。

Excel(エクセル)

Web上に公開されているテンプレートを使って簡単にフォーマットを構築できる、関数を使って自社が使いやすいよう柔軟に管理表を作成できる利点があることから、Excelは最も便利なツールだといえます。
しかし、入力ミスや作業負担の増加、情報改ざんのリスクといった課題が多いのも事実です。2019年に労働安全衛生法が改正され、労働時間の適正な管理が義務化されたこともあり、中規模以上の企業はExcelよりも精度の高い勤怠管理システムを採用するのが無難です。

勤怠管理システム

勤怠管理システムとは、出退勤時間の打刻や記録、残上時間の申請といった手続きを、1つのシステム内で行える製品です。また、サービスによっては、シフトの作成や給与ソフトとの連携ができる場合もあります。
勤怠管理システムには、クラウド型とオンプレミス型の2つの種類が存在します。
ソフトウェアを購入する必要がなく、インターネット環境とWebブラウザさえあれば、場所を選ばず利用できるのがクラウド型サービスのメリットです。自社のサーバーを利用して、より安全に勤怠管理を行いたい場合は、オンプレミス型サービスが向いているでしょう。

7. おすすめ勤怠管理システム3選

現代の多様な働き方に対応するためには、勤怠管理システムの活用が欠かせません。ここでは、柔軟な勤務形態への対応やアラート機能を備え、労務リスクの軽減に役立つおすすめの勤怠管理システムを3つご紹介します。それぞれの特徴を比較し、自社に合ったツール選びの参考にしてください。

ジンジャー勤怠(jinjer株式会社)

ジンジャー勤怠は、多様な業界・業種で導入実績を持つクラウド型勤怠管理システムです。

変形労働時間制やフレックスタイム制といった多様な勤務形態にも対応でき、社内に複数の働き方が混在する企業でも柔軟に運用できる点が大きな特徴です。

操作画面はシンプルで直感的な設計となっており、初めて勤怠システムを導入する企業や、従業員に負担をかけたくない場合にも適しています。スマホアプリからの打刻や申請・承認もスムーズに行えるため、外出先や移動中でも管理がしやすいのも魅力です。

また、ジンジャー勤怠では、法改正に対応した労働時間・有休管理が可能なだけでなく、

36協定の残業時間超過や有休取得状況、打刻漏れ、休日出勤などに対してアラートを自動で出す機能が充実しています。従業員本人だけでなく、管理者にもアラート通知ができるため、ガバナンス強化にもつながります。

▶ ジンジャー勤怠の詳細はこちら

ハーモス勤怠(株式会社ビズリーチ)

ハーモス勤怠は、株式会社ビズリーチが提供するクラウド型勤怠管理システムです。PC・スマホ・LINE・Slack・ICカード・QRコード・生体認証など、さまざまな打刻方法に対応しており、いつでもどこでも柔軟に打刻できるのが特徴です。

勤怠管理に必要な基本機能を幅広く網羅しており、休暇管理、ワークフロー機能も標準搭載。シフト管理や工数管理、給与明細、年末調整といった周辺業務までまとめてカバーできるため、勤怠管理以外の負担も大きく軽減できます。

また、残業レポートや36協定レポート、規定時間超過時のアラート通知といった機能も充実しており、事前に従業員の勤務状況を把握し、超過リスクを未然に防ぐことが可能です。

副業・兼業向けに特化した専用機能はありませんが、勤怠アラート機能や残業レポートを活用すれば、副業・兼業時代の勤怠リスク管理にも十分役立つシステムといえるでしょう。

▶ ハーモス勤怠の詳細はこちら

マネーフォワード クラウド勤怠(株式会社マネーフォワード)

マネーフォワード クラウド勤怠は、未打刻や未承認、残業超過などを自動アラートで検知し、勤怠リスクを未然に防ぐことに強みを持つクラウド型勤怠管理システムです。有休や残業時間も自動で集計できるため、人的ミスを減らして正確な給与計算が可能です。

また、企業ごとのルールや多様な勤務形態に合わせた柔軟な設定が可能で、フレックスタイム制・時間休・リモート勤務・シフト制など、現代の多様な働き方にも適応できます。

アラート機能や柔軟な勤務設定を活かすことで、多様な労働スタイルにも対応しやすいシステムといえるでしょう。

▶ マネーフォワード クラウド勤怠の詳細はこちら

8. DX化を進めるならクラウド郵便サービス「トドケール」もおすすめ!

企業のDX化が進むなか、意外と見落とされがちなのが郵便物管理のデジタル化。とくにリモートワークが普及したことにより、「郵便物の対応だけのために出社する」といった課題を抱える企業が増えています。こうした悩みを解消する手段として注目されているのが、クラウド郵便サービス『トドケール』です。

トドケールは、郵便物や荷物の到着情報をクラウド上で一元管理できるシステムです。管理者と受取人がリアルタイムで情報を共有できるため、郵便物の到着確認や受け渡しがスムーズになり、業務の効率化と属人化の防止に貢献します。

郵便業務にかかる手間を減らして社内DXをさらに加速させたい企業は、ぜひ『トドケール』の導入を検討してみてください。

▶ トドケールの詳細はこちら

9. まとめ

2020年9月に行われた「副業・兼業の促進に関するガイドライン」の改訂により、副業を行う従業員の勤怠管理方法が大きく変化しました。これから副業制度を導入しようと考えている事業者は、通算ルールをよく理解して運用する必要があります。
副業従事者の数が多く管理が難しい場合は、厚生労働省が推奨する管理モデルや、効率的な労働時間管理ができる勤怠管理システムを導入してみてください。従業員の働きやすさを阻害せず、なおかつ自社の業務効率を損なわないよう工夫を凝らしましょう。

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