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健康診断は企業の義務?罰則や対象者、実施するタイミングなどを徹底解説

更新日:

2024/4/16

健全な企業経営を行うためには、従業員に対する適切な健康管理が欠かせません。健康管理の重要な施策の一つとなるのが、今回紹介する健康診断です。
健康診断の意義についてはよく理解していても、「そもそも健康診断は必須なのか」「どのようなタイミングで健康診断を行う必要があるのか」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、企業における健康診断の必要性や実施するタイミング、対象となる従業員の範囲などを詳しく解説します。

目次

1. 従業員の健康診断は企業の義務

企業や組織は、従業員に健康診断を受診させる必要があります。労働安全衛生法第66条において、企業や組織で働く従業員に対して健康診断を実施する義務が明記されているためです。

第六十六条

事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断(第六十六条の十第一項に規定する検査を除く。以下この条及び次条において同じ。)を行わなければならない。

企業や組織には健全な運営が求められており、その一環として従業員の健康を守るために健康診断が必須だということです。
上記のように法律で健康診断の実施義務が定められているため、受診させなかった場合は50万円以下の罰金が科されます。また、健康診断に関する結果が外部に漏れてしまった場合も、6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。

参照元:労働安全衛生法|e-GOV

2 .健康診断実施義務の対象となる従業員の範囲

企業の健康診断実施義務の対象となるのは、正社員だけではありません。従業員の対象範囲は雇用形態ではなく、労働時間や雇用関係などの条件で決まります。
ここでは、健康診断実施義務の対象となる従業員の範囲について詳しく解説します。

正社員・パート・アルバイト

企業は、正社員のほかにパートやアルバイトであっても、条件を満たしていれば健康診断を受診させなければなりません。その条件には次の4つの種類があります。

  1. 常時使用する労働者

  2. 1年以上にわたって契約を結ぶ労働者

  3. 1・2の条件を満たしたうえで、週の労働時間が正社員の4分の3以上になる労働者

  4. 1・2の条件を満たさない場合でも、週の労働時間が正社員の2分の1以上になる労働者

なお、4番目の条件のみ企業の努力義務となります。
健康診断の受信者をリストアップするときは、特に労働時間を目安にすると良いでしょう。

派遣社員

派遣社員を使用する場合は、労働契約を締結した対象者を確認しましょう。
派遣社員が派遣元の企業や組織と雇用契約を結んでいる場合は、その派遣元が健康診断を受診させる義務があります。原則的に派遣労働者の労働契約上の使用者は派遣元企業となるため、派遣元が健康診断を実施するのが一般的です。
また、下請け会社から自社に従業員が出向している場合も、上記と同じように「雇用契約をどの組織と結んでいるか」という点を確認しましょう。

従業員の家族や配偶者

自社と雇用契約を結んでいる従業員の家族や配偶者に関しては、健康診断を実施する義務はありません。従業員の家族や配偶者は、自社と直接雇用契約を交わしているわけではないからです。

3. 企業が行うべき健康診断の種類と必須項目

企業が行うべき健康診断には、「一般健康診断」と「特殊健康診断」の2つの種類があります。それぞれ実施する内容やタイミングが異なるため、各種類の特徴や必須項目を押さえておきましょう。

一般健康診断

一般健康診断とは、すべての企業や組織が必ず実施しなければならない健康診断です。実施義務の条件を満たした従業員すべてが対象となり、必要なタイミングに応じて受診させる必要があります。

受診するタイミング

一般健康診断を受診するタイミングは、次の5つの種類に分けられます。

  • 従業員を新たに雇い入れたとき

  • 1年に1回の定期健康診断

  • 特定業務従事者の6ヶ月ごとの健康診断

  • 6ヶ月以上海外で勤務する海外派遣労働者の健康診断

  • 学校給食従事者の毎月2回以上の検便

ほとんどの企業は、従業員の雇い入れ時と定期健康診断の2つを実施するケースが多いでしょう。定期健康診断を行う場合は、従業員が40~75歳のときに限り、メタボリックシンドロームに着目した特定検診を受診させる必要がある点に注意が必要です。
3つ目の特定業務従事者とは、多量の高熱・低温物体を取り扱ったり、著しく暑熱・寒冷な場所で業務を行ったりする労働者を指します。特定業務従事者に対しては、6ヶ月に1回の健康診断を実施しなければなりません。
6ヶ月以上海外で業務に従事する労働者を使用する際は、出国時と帰国後3ヶ月以内に健康診断を受けさせる必要があります。健康診断を依頼する場合は、出国日より1ヶ月以上前に手続きを行いましょう。

一般健康診断の必須項目

一般健康診断において必ず受診しなければならない項目は、雇い入れ時の健康診断と定期健康診断によって内容が異なります。

参照元:雇入時の健康診断定期健康診断|全日本労働福祉協会

両者で異なる点は、雇い入れ時の健康診断の際は「胸部エックス線検査」で良かったものが、定期健康診断になると「胸部エックス線検査および喀痰検査」が必要になる点です。また、定期健康診断については、医師が必要でないと判断した場合に項目を省略できるようになります。
診断結果の報告義務に関しても、雇い入れ時と定期健康診断で以下のような違いがあります。

  • 雇い入れ時の健康診断
    所轄労働基準監督署長への報告義務はない。

  • 定期健康診断
    常時雇用者数が50人以上の場合に限り、「定期健康診断結果報告書」を所轄労働基準監督署長に報告する義務がある。

特殊健康診断

特殊健康診断とは、労働衛生対策において特に有害であるとされる業務に従事する労働者を対象に実施する健康診断です。労働安全衛生法第66条第2・3項で実施が義務付けられています。
特殊健康診断は、取り扱う業務の種類により5つの種類に分けられます。

  • 有機溶剤健康診断:有機溶剤にかかわる業務従事者が受診

  • 鉛健康診断:鉛にかかわる業務従事者が受診

  • 特定化学物質健康診断:特定化学物質にかかわる業務従事者が受診

  • 指導推奨による特殊健康診断:行政からの通達にもとづいて実施される健康診断

  • その他の健康診断:当該法令にもとづいて実施される健康診断

検査における必須項目は特殊健康診断の種類によっても異なります。一例として、有機溶剤健康診断の必須項目を以下に取り上げました。

  • 尿中代謝物検査

  • 血清・血液学的検査

  • 眼底写真撮影検査

4. 健康診断の費用は誰が負担する?

健康診断の費用は、種類や受診する対象者にかかわらず、企業や組織が全額負担します。健康診断は自由診療に該当するため、医療保険が適用されず、従業員1人につき5,000~1万5,000円の費用が発生します。
従業員が健康診断を受診している間は業務が行われていないため、その時間分の給与を支払わなくても違法ではありません。ただし、健康診断の受診は法律的に義務付けられているため、受診中の給与を支払うのが望ましいといえるでしょう。
従業員が再検査を受ける場合は、企業が通知を行う義務があるものの、その費用は受診者の自己負担となります。また、従業員の希望により、健康診断で人間ドックやオプション健診を受ける場合についても、差額分は受診者が支払う必要があります。

5. まとめ

企業や組織は、従業員を雇い入れた際と年に1回は必ず健康診断を実施しなければなりません。健康診断の実施義務を怠ると、6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があるので注意が必要です。
健全な企業経営を行うためには、従業員に対する適切な健康管理が欠かせません。従業員の健康が悪化してしまうと、企業にとっても貴重な労働力を失ってしまうことになるでしょう。
健康診断は、法律で定められているから仕方なく実施するのではなく、雇用者側と労働者側が互いに気持ちよく働けるという目的を理解することが大切です。健康診断を実施する意義をよく理解したうえで、従業員の健康管理を徹底しましょう。

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