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インボイス制度で業務はどうなる?経理担当者が押さえるべき6つのポイント

更新日:

2024/4/12

2023年10月1日から消費税に大きく関係するインボイス制度が始まります。制度開始に伴い、請求書の様式変更やシステム整備などの手続きが必要となり、経理業務が複雑になる可能性があります。
そのため経理担当者にとっては、制度に対応したうえで、いかに経理業務の効率化をはかるかが重要となってきます。そこで本記事を参考に、経理担当者が押さえるべき6つのポイントを理解しておきましょう。
インボイス制度に向けて「やるべきこと」を整理しておくことで、スムーズに制度に対応できるようになります。

目次

1. インボイス制度とは

インボイス制度とは、2023年10月1日から始まる仕入税額控除の新しい仕組みです。正式には、「適格請求書等保存方式」と呼ばれます。
制度開始後に仕入税額控除を受けるためには、従来の請求書とは異なる「適格請求書(インボイス)」を、仕入先から交付してもらう必要があります。
たとえば、課税売上にかかる消費税額が100万円で、課税仕入にかかる消費税額が40万円だった場合、仕入先から適格請求書を発行してもらえば、税務署に納付する消費税額が60万円(100万円-40万円)で済むということです。
インボイス制度を利用するためには、仕入先が適格請求書発行事業者に登録しなければなりません。登録しなければ適格請求書を発行できないので、得意先が仕入税額控除を受けられなくなります。

消費税を正確に把握する目的で導入

インボイス制度を導入する主な目的は、2つの税率が混在するなかで消費税を正確に把握することです。
現在の消費税率は原則10%ですが、飲食料品や医薬品など一部の商品には8%の軽減税率が適用されています。事業主や経理担当者からすると、複数の税率があることで経理処理が複雑化してしまいます。
そこで正確に税額を計算できるよう、インボイス制度が導入されることになりました。

インボイス制度開始に伴う影響

インボイス制度の導入に伴い、経理や総務といった業務に以下のような影響が現れる可能性があります。

  • 現行の「区分記載請求書」に必要な情報を追記する

  • 税額計算方法の一部が変更される

  • 課税事業者と免税事業者のそれぞれの課税仕入を区分する必要がある

  • 制度に応じてシステムを変更する必要がある

  • 消費税申告書の新様式に対応する必要がある

このような経理業務の煩雑化やシステムの非対応などの問題に対処するには、想定される課題を事前にイメージし、適切に準備しておくことが大切です。どのような対策を講じればよいのか、次の章で詳しく解説します。

2. 経理担当者が押さえておきたいインボイス制度の6つのポイント

インボイス制度について経理担当者が押さえておくべきポイントは、次の通りです。

(1) 2023年3月31日までに登録が必要

(2) 課税事業者と免税事業者からの課税仕入を区分

(3) 免税事業者等からの課税仕入にかかる経過措置への対応

(4) 適格請求書(インボイス)の記載事項

(5) 適格請求書での端数処理は税率ごとに1回のみ

(6) 制度に対応したシステム整備

(1) 2023年3月31日までに登録が必要

インボイス制度は2023年10月1日からスタートしますが、制度開始後すぐに請求書を発行できるようにするには、2023年3月31日までに適格請求書発行事業者の登録手続きをしておく必要があります。
適格請求書発行事業者に登録できるのは、課税事業者のみです。
課税売上高が1,000万円以下の免税事業者は、適格請求書を発行できません。そのため免税事業者は、先に消費税課税事業者届出書を提出したうえで課税事業者となり、その後に適格請求書発行事業者として登録する必要があります。

(2) 課税事業者と免税事業者からの課税仕入を区分

適格請求書発行事業者には課税事業者しか登録できないことから、仕入先が免税事業者だと適格請求書を発行してもらえないことになります。そのためインボイス制度がスタートした後は、適格請求書発行事業者(課税事業者)と免税事業者の課税仕入を区分する必要があります。
適格請求書には、適格請求書発行事業者の登録番号が記載されるため、その番号から仕入先がどちらの事業者にあてはまるかの判断が可能です。しかし登録番号が記載してあるからといって、適格請求書発行事業者としての確実な証明にはなりません。
新しい仕入先と取引する場合は、国税庁の「適格請求書発行事業者 公表サイト」をチェックするのが確実です。サイト内で13桁の登録番号を入力し、検索ボタンをクリックするだけで、簡単に適格請求書発行事業者かどうかを調べられます。

(3) 免税事業者等からの課税仕入にかかる経過措置への対応

インボイス制度がスタートしても6年間は、免税事業者からの課税仕入の一定割合を仕入税額として控除できます。これを「免税事業者等からの課税仕入にかかる経過措置」といいます。

引用元:日本税理士会連合会

この経過措置による仕入税額控除の適用を受けるには、次の条件を満たす必要があります。

  • 免税事業者から受領する区分記載請求書等と同じ事項が書かれた請求書等の保存

  • 80%控除・50%控除の特例を受ける課税仕入であることを記載した帳簿の保存

(4) 適格請求書(インボイス)の記載事項

現在の請求書や領収書は「区分記載請求書」と呼ばれています。その区分記載請求書に、適格請求書発行事業者の登録番号や氏名、適用税率などを書き加えたものが、「適格請求書(インボイス)」です。
適格請求書の記載例は以下のようになります。なお、不特定多数の方に販売する小売業や飲食店業などについては、適格請求書よりもシンプルな適格簡易請求書が認められています。

引用元:適格請求書等保存方式の概要|国税庁

適格請求書に記載する内容は次の通りです。

このように適格請求書には必要な記載事項が定められていますが、様式や書類の種別が決まっているわけではありません。請求書ではなく領収書や納品書、レシートなどでも、必要事項が記載されていれば適格請求書として認められます。

(5) 適格請求書での端数処理は税率ごとに1回のみ

インボイス制度で消費税額を計算する際は、適格請求書1つにつき端数処理が税率ごとに1回のみと定められています。

引用元:適格請求書等保存方式の概要|国税庁

たとえば上図の右側の請求書では、「トマト」や「ピーマン」など個々の商品ごとに消費税額を計算し、その都度、端数処理を行っています。しかしインボイス制度では、8%対象と10%対象の売上金額を先に合算し、その金額に税率をかけて端数処理を行います。
経理処理においても、これまでは商品ごとの税込金額を合計して仕訳を計上できたので、請求書と帳簿の消費税額が一致しました。その点、インボイス制度では商品ごとの税込金額が記載されなくなるため、以下のような経理処理が必要となってきます。

  1. 商品明細を勘定科目ごとに分類

  2. 分類した商品を税率別・課税区分別に税抜金額を集計

  3. 集計したものに8%か10%の税率をかけて税込金額を計算

もし適格請求書に記載された税込金額の合計と、上記で計算した税込金額の合計が異なる場合は、仮払消費税等で差額を調整します。

(6) 制度に対応したシステム整備

現状のシステムがインボイス制度に対応できない場合は、対応する別のシステムへの乗り換えを検討しましょう。
適格請求書を発行する側は、適切な書類形式で出力できる販売管理システムが必要です。適格請求書を受け取る側も、インボイス制度に対応した財務会計システムが必要となるでしょう。

3. インボイス制度に備えるための手順

インボイス制度に備えるための手順は次の通りです。

(1) 登録申請書の提出

(2) 自社で発行する請求書を確認

(3) 会計ツールや管理システムの見直し

(1) 登録申請書の提出

取引先に適格請求書を発行する必要がある場合は、適格請求書発行事業者の登録手続きを済ませておきましょう。
登録には、納税地を所轄する税務署へ「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出します。その後、税務署による調査が行われ、審査に通過すると登録簿へ登載され、税務署から通知が届きます。
申請書は国税庁の公式サイトからダウンロードが可能です。郵送や税務署への書類持参のほか、e-Taxによる登録申請手続きもできます。

(2) 自社で発行する請求書を確認

普段から自社で発行している請求書や領収書、納品書などを見直し、どの書類を適格請求書にするかを決定します。あらかじめ書類の雛形を作成し、適格請求書に必要な項目を満たせているかチェックするのもよいでしょう。

(3) 会計ツールや管理システムの見直し

現在自社で使用している会計ツールや管理システムが、インボイス制度に対応できるかどうかを確認しましょう。
クラウド会計サービスを利用している場合は、問題なく対応できることがほとんどです。一方でパッケージ型のソフトやエクセルで管理している場合、見直しが必要になるケースが少なくありません。

4. まとめ

2023年10月1日からスタートするインボイス制度は小規模な売り上げを理由としてこれまで消費税の納税を免れてきた免税事業者への課税強化が主な目的です。10月に開始するためには2023年3月31日までに登録する必要があるため、急いで準備を進めている事業者の方も多いでしょう。
インボイス制度を適切に活用するためには、制度の詳細をよく理解しておくことが大切です。特に経理担当者の方は、課税事業者と免税事業者の区分や経過措置への対応、端数処理などについて知識を深めておきましょう。

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