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GX(グリーントランスフォーメーション)とは?

更新日:

2024/4/16

環境保護に対する世界的な関心が強まるなか、日本でも2020年に「2050年カーボンニュートラル」が宣言されました。これを機に、国内でGX(Green Transformation / グリーントランスフォーメーション)に対する注目度が高まっています。
GXとは、再生可能エネルギーへの転換によって温室効果ガスの排出量を抑えるための概念です。社会経済全体を巻き込んだ変革が必要になるため、企業にもGXへの取り組みが求められています。
本記事では、GXの概要や企業の対策方法、取り組み事例などを徹底解説します。

目次

1. GX(グリーントランスフォーメーション)とは

GX(Green Transformation / グリーントランスフォーメーション)とは、太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギーへの転換で温室効果ガスの排出量を抑え、地球環境を変革(トランスフォーメーション)しようとする考え方です。

GXが注目されるようになった背景

GXが注目されるようになった背景には、地球温暖化による脅威の高まりと、脱炭素に向けた世界的な機運向上という2つの流れがあります。
2015年に開催されたパリ協定では、21世紀末までに世界の平均気温を、産業革命前より1.5~2.0度未満に抑える目標が掲げられました。その後2020年になると、国連環境計画(UNEP)が、このまま温室効果ガスの排出量が増え続けると、今世紀中に世界の平均気温が産業革命前より3.2度上昇するという「排出ギャップ報告書」を公表しました。すると、台風や豪雨、熱波といった自然災害の増加や、気候変動による食糧難や健康被害などのリスクが高まり、人類の存続を脅かします。
また、2050年までにカーボンニュートラル(排出量ゼロ化)を大統領公約したアメリカや、国家の長期戦略として掲げたEUをはじめとして、すでに125ヶ国・1地域が脱炭素化に向けて足並みを揃えています。
こうした流れを組み、今後はさらにGXに対する注目が集まることが予想されます。

参照元:第1部 第2章 第2節 諸外国における脱炭素化の動向 │ 令和2年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2021) HTML版 │ 資源エネルギー庁

GXによって成長が期待されている産業

海外と同様、2020年には日本でも、30年後の脱炭素化実現に向けた「2050年カーボンニュートラル宣言」を発令しました。そのなかにまとめられているグリーン成長戦略において、GXによって成長が期待されている14分野の産業が記載されています。

  • 洋上風力・太陽光・地熱

  • 水素・燃料アンモニア

  • 次世代熱エネルギー

  • 原子力

  • 自動車・蓄電池

  • 半導体・情報通信

  • 船舶

  • 物流・人流・土木インフラ

  • 食料・農林水産業

  • 航空機

  • カーボンリサイクル・マテリアル

  • 住宅・建築物・次世代電力マネジメント

  • 資源循環関連

  • ライフスタイル関連

参照元:グリーン成長戦略|厚生労働省

具体的には、2040年までに洋上風力を活用した3,000~4,500万kWの案件形成や、2050年までに2,000万トン程度の水素市場の拡大などを見込んでいます。これら産業分野の成長により、2050年における経済効果は約290兆円、雇用効果は約1,800万人と試算されています。

2. GX対策が企業に求められる理由

2050年までにカーボンニュートラルを達成するのがGXの目標の一つでもあります。そのためには、従来の国家間のあり方から政治、社会全体のインフラを脱炭素型に再設計する必要があり、企業経営や一般消費者のライフスタイルにも大きな変革が求められます。
特に企業にとっては、次のような理由からGX対策の必要性が高まっています。

  • 地球温暖化が原因で起こる経済損失

  • 資金調達が困難になる可能性

  • グローバル企業の産業競争力の低下

地球温暖化が原因で起こる経済損失

世界気象機関(WMO)が2021年8月に発表した調査によると、過去50年間における世界の自然災害の数が5倍に増加しています。その原因は、気温の上昇による異常気象や極端な降水量などです。
1970年から2019年までの間に1万1,000件以上の災害が発生した結果、経済損失は3兆6,400億ドル(約400兆円)に達しました。
また、再保険業界の世界大手、スイス再保険によると、2019年に世界で起きた自然災害の保険損害額は520億ドル(約5兆7,000億円)で、日本は世界全体の3割弱を占めています。
このように、自然災害が起こりやすい日本で持続的な経済活動を行うためには、万一の災害に備えることはもちろん、GXに対する理解を深めたうえで適切な処置を講ずることも必要となります。

資金調達が困難になる可能性

自然災害が企業の経営活動に大きな損失を与える場合、真っ先に危機感を抱くのが金融機関です。金融機関からすると、投融資する企業の財務状況が悪化した結果、貸し倒れリスクが高まってしまいます。
また、ESG(環境・社会・ガバナンス)に対する注目が高まっているなか、その考えに相反して企業経営を進めようとすれば、投資家が持ち株を手放そうとするダイベストメントの流れも加速するでしょう。世界の投資市場では、2021年時点ですでに35.9%がESG投資となっています。
金融機関から融資を受けづらくなる、投資家から資金を集めづらくなってしまえば、資金調達が困難となり、資金調達を含めた企業の財務活動が難しくなる可能性があります。このようなリスクを回避するためにも、GX対策を実施したうえで、その取り組みを積極的に公表することが大切です。

グローバル企業の産業競争力の低下

JCLP(日本気候リーダーズ・パートナーシップ)が公表する「カーボンニュートラルへの移行に求められる企業へ」という資料によると、GXの取り組みを加速する大手グローバル企業が、サプライチェーン全体で完全にカーボンニュートラルを達成することを宣言しました。
日本の取引先にも脱炭素化が求められており、その取引額は年間725億ドル(約7.5兆円)に達するとされます。国内のグローバル企業がGX対策を実施しない場合、グローバル・サプライチェーンから取り残されるリスクが顕在化したということです。

3. 企業がGX戦略を構築するための方法

これからGX戦略を構築したい企業のために、官民学一体で経済社会システムの変革に向けた議論や実践を行う場として設立されたのが、経済産業省の「GXリーグ」です。
このGXリーグに企業が参画するための条件を知ることで、企業がどのようなGX戦略を構築すれば良いのかが見えてきます。ここでは、具体的な3つの方法を解説します。

排出量削減目標の策定・実行

GXリーグでは、企業に対して「自ら1.5度努力目標実現に向けた目標の設定、挑戦を行い、その取り組みを公表すること」という要件を求めています。2030年の排出量削減目標を掲げ、目標に対する進捗度合いを毎年公表する必要があります。
GXリーグに参画しない企業にとっても、一つの目安となる要件だといえるでしょう。

炭素中立に向けたサプライチェーンマネジメント

GXリーグでは上記と同時に、「自らだけでなく、サプライチェーン上の幅広い主体に働きかけを能動的に行い、サプライチェーン全体のカーボンニュートラルを目指すこと」という要件を企業に求めています。
具体的には、サプライチェーン上流の事業者に対して、2050年のカーボンニュートラルに向けた排出量削減の取組支援を行ったり、下流にいる消費者に対しても、脱炭素化に対する能動的な付加価値の提供(CFP表示など)や意識醸成を行うこととしています。

市場におけるグリーン化の牽引

グリーン製品の積極・優先購入などにより、市場のグリーン化をけん引すること」というのも、GXリーグにおける要件の一つです。
たとえば、企業自身が革新的なイノベーション創出に取り組むことや、関連企業と共同で新製品・サービスを通じた排出量削減への貢献を行うような施策が該当します。また、カーボン・オフセット製品の販売を通じて、市場のグリーン化や拡大をはかるのも方法の一つです。

4. GXに取り組む企業の事例

最後に、GXに取り組む企業の事例をご紹介します。

戸田建設

国内の準大手ゼネコンの1社である戸田建設は、「2030年までに新築建物全体でZEB化を実現する」とのビジョンのもとGX対策に取り組んでいます。ZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)化とは、建物の運用段階でのエネルギー消費量を限りなくゼロに抑えようとする考え方です。
また、日本では初となる浮体式構造物を利用した洋上風力発電を設置しました。日本は海溝の深さから沖合で風が強くなり、着床式の洋上風力発電を設置することが困難でしたが、浮体式に着目することで海底や漁場などの影響を受けない設置工事が可能になります。

参照元:カーボンニュートラル実現に向けた行動計画 | 地球環境のために | 戸田建設

NTT

全国に約7,300ヶ所の通信ビルを保有するNTTは、2019年の大型台風や北海道胆振東部地震による大規模停電で、一部サービスに通信障害が発生しました。このままでは事業の継続性が危ぶまれることから、2030年までに電力消費量の半分程度を自社保有の再生可能エネルギーでまかなうことを発表しています。
災害への備えとしては、全国の通信ビル内に大容量の蓄電池を設置します。これにより通信ビルが蓄電所としての機能を持つことになり、天候で発電量が変動する再生可能エネルギーの需給調整が可能になります。

参照元:グリーンボンドフレームワーク|NTTグループ

5. まとめ

GXに対する取り組みは、社会経済すべてを脱炭素化に再構築する必要があるため、企業にも変化が求められています。GXに積極的に取り組もうとしない企業には、国際社会から後ろ向きだと判断され、国際競争力を失うほか、大きな経済損失を被る可能性があります。
日本政府が「2050年カーボンニュートラル」を宣言してから約2年。すでにGXの取り組みを強化する数多くの企業が現れ始めているため、こうした事例や今回紹介した戦略設計方法を参考に、適切なGX対策を講じましょう。

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