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接待交際費とは?経費計上できる範囲や注意点、2024年の税制改正についても解説

更新日:

2025/8/1

接待交際費は得意先や仕入先などとコミュニケーションを取るために必要な経費です。しかし、接待交際費の取り扱いは複雑であり、経費計上の際にどのように扱えばよいのか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、接待交際費の概要や注意点、2024年の税制改正についても解説します。ぜひ参考にしてください。

目次

1. 接待交際費とは

接待交際費とは、取引先や仕入先、その他事業に関係のある企業などと良好な関係を築くために支出した費用に対して使われる勘定科目です。たとえば、商談後に得意先を食事に招待した場合の飲食代や、季節のあいさつとして贈るお中元・お歳暮などが該当します。こうした支出は、信頼関係の構築や円滑なビジネスの維持に寄与するものであり、事業活動の一環として一定の範囲で経費計上が認められています。

ただし、接待交際費は税務上、原則として損金(=経費)に算入できないとされており、そのまま全額を経費とすることはできません。企業の規模や資本金の額に応じて、算入できる上限が異なる「特例措置」が設けられているため、次章ではその詳細を解説します。

2. 接待交際費を経費にできる範囲や条件

接待交際費は、取引先との関係構築などに必要な支出である一方、税務上は原則として損金(=経費)に算入できないとされています。ただし、法人の資本金規模に応じて一定の範囲内で損金算入が認められる特例措置が設けられており、その内容は法人の区分によって異なります。ここでは、法人の規模別に接待交際費の経費計上が可能な範囲と条件を解説します。

資本金が1億円以下の法人の場合

期末の資本金または出資金の額が1億円以下の法人では、以下のいずれか一方の方法を選んで、接待交際費の一部を経費(損金)として計上することができます(選択制)。

① 年間800万円までの接待交際費を全額経費にする方法(定額控除限度額)

② 支出した「接待飲食費」の50%を経費にする方法(飲食費の50%控除)

「接待飲食費」とは、接待交際費のうち取引先との飲食にかかった費用のことを指します。

どちらを選ぶかは法人の判断によりますが、年間の接待交際費全体が800万円以下であれば①の方法が有利です。一方、飲食費が1,600万円を超える場合には②を選ぶことで、より多くを経費にできる可能性があります。

なお、これらの特例はいずれか一方のみを適用でき、両方を同時に使うことはできません。適用可能な期間は、2027年(令和9年)3月31日までに開始する事業年度までの支出です。

資本金が1億円超100億円以下の法人の場合

期末の資本金または出資金の額が1億円を超えており、かつ100億円以下の法人については、特例措置の選択肢が制限されます。この区分の法人が経費として認められるのは、支出した接待交際費のうち「接待飲食費」の50%相当額のみです。

資本金1億円以下の法人のように「年間800万円までの金額(定額控除)」は選択できません。たとえ年間の接待交際費が800万円に満たなかったとしても、損金に参入できるのは50%相当額のみとなります。

なお、この特例措置は、2027年(令和9年)3月31日までに開始する事業年度までの支出が対象です。

資本金が100億円を超える法人の場合

資本金が100億円を超える法人については、すべての接待交際費が損金不算入となり、税務上の経費として認められません。これは、飲食費であっても贈答費であっても同様であり、接待交際費に該当するすべての支出が損金参入できないことを意味します。そのため、資本金100億円超の企業にとっては、接待交際費を使って節税効果を得ることはできません。

接待交際費を経費にできる範囲や条件について、詳しくは国税庁の「No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算」を参考にしてください。

3. 2024年度(令和6年度)の税制改正で変わったこと

2024年度(令和6年度)の税制改正により、接待交際費に関する2つの変更がありました。この改正は、中小企業の営業活動や飲食業界の活性化が目的とされ、コロナ禍後に停滞していた企業間の交流を促す狙いがあります。この章では、税制改正でどのような変更があったのかを解説します。

1人あたりの飲食費の上限を「5,000円から10,000円」に引き上げ

従来は、取引先との飲食代が1人あたり5,000円以下であることを条件に、接待交際費から除外して「会議費」(=損金)として全額を経費計上することが認められていました。しかし、2024年4月1日以降の支出からは、この上限が1人あたり10,000円以下に引き上げられています。

この変更により、「接待交際費」ではなく「会議費」として確実に経費処理できる範囲が広がり、より多くの費用を損金に参入できる可能性が高まりました。

損金算入できる特例措置の適用期間が3年間延長

接待交際費は税務上、原則として損金算入できません。ただし、「資本金1億円以下」または「1億円超100億円以下」の法人においては、2024年(令和6)年3月31日までに開始する事業年度まで以下の特例措置が設けられていました。今回の改正により、2027年(令和9年)3月31日までに開始する事業年度まで引き続き適用されることとなりました。

資本金

損金算入額(特例措置)

改正前

改正後

1億円以下

次のいずれかの金額を上限として選択

2024年(令和6)年3月31日までに開始する事業年度

2027年(令和9年)3月31日までに開始する事業年度

1億円超100億円以下

接待飲食費×50%

4. 接待交際費に計上できる支出例

接待交際費として認められる支出は、取引先や仕入先など「事業に関係のある相手」との信頼関係を築いたり維持したりすることを目的とした費用が該当します。この章では、接待交際費として計上できる代表的な支出例について紹介します。

取引先との会食にかかる費用

事業上の関係がある相手を接待する目的で飲食を伴う場を設けた場合、その費用は接待交際費に該当します。ただし、1人あたり10,000円以下の場合は「会議費」として処理することも可能なため、扱いには注意が必要です。

顧客や取引先への贈答品費用(お中元・お歳暮など)

お中元やお歳暮といった季節のあいさつや、記念品、粗品などを贈るためにかかった費用は接待交際費として扱われます。また、取引先で慶弔があった場合に贈る香典やご祝儀なども、交際の一環として接待交際費に該当するケースがあります。

パーティーや懇親イベントへの招待費用

自社が主催するパーティーや懇親イベントに、取引先や仕入先、顧客などの事業関係者を招待する場合、その開催にかかる費用は接待交際費として計上できます。対象となる費用は、飲食代や会場代はもちろんのこと、設営費や演出にかかる費用、司会者の手配料なども含まれます。また、参加者に配布する記念品やプレゼントの購入費、終了後のタクシー代や送迎にかかった交通費なども、交際を目的とした支出であれば接待交際費に該当します。

ゴルフ・旅行・観劇などへの招待費用

接待の一環としてゴルフや旅行、観劇、スポーツ観戦などに取引先を招待した場合、その費用は接待交際費に含まれます。招待にかかる交通費や宿泊費、チケット代、現地での食事代なども含めて計上することができます。

5. 接待交際費に計上できない支出例

接待交際費は、事業に関係する相手との交際を目的とした支出に限定されます。したがって支出の目的や相手によっては、たとえ飲食や贈答に関する費用であっても、接待交際費には該当しないケースがあります。ここでは、接待交際費として計上できない代表的な支出例を紹介します。

自社の従業員だけが参加する社内イベント

社員旅行や社内懇親会、運動会など、従業員のみが参加するイベントにかかる費用は接待交際費ではなく「福利厚生費」として処理されます。これは接待や対外的な交際ではなく、社内向けの福利施策とみなされるためです。なお、福利厚生費として処理するには、イベントの案内が全社員に行き渡っており、ほとんどの社員が参加できるよう配慮されている必要があります。

1人あたり10,000円以下の少額飲食費

クライアントや取引先を招いた会食であっても、1人あたりの飲食代が10,000円以下の場合は、税務上「交際費等」から除外されます。このような飲食費は、通常「会議費」などの別の勘定科目で処理することが原則です。たとえば、4人で3万円の飲食費がかかった場合、1人あたり7,500円となるため会議費で計上します。なお、会議費として経費計上するには、参加者の氏名・所属、会食の目的、日付、金額などを記載した記録の保存が必要です。

ノベルティやカレンダーなど広く配布する物品の費用

企業が年末年始などに配布するカレンダーや手帳、うちわ、扇子、手ぬぐいといった物品は、接待交際費には該当しません。これらは一般的に広く配布されるものであり、贈答というよりは広告宣伝や慣例的な配布物とみなされるためです。税務上は「広告宣伝費」や「販売促進費」として処理されるのが通常です。

会議中の茶菓子や弁当などの軽飲食費

会議に関連して提供される茶菓子や弁当などの軽飲食費についても、参加者との情報共有や業務遂行を目的とした支出であるため、接待交際費には該当しません。これらの費用は「会議費」などの科目で処理するのが適切です。

取材や座談会に伴う飲食費

雑誌・新聞・ウェブ記事などの制作にあたって取材や座談会の場で提供する飲食物なども、接待ではなく業務上必要な支出とみなされ、通常は「取材費」や「会議費」などで処理されます。

6. 「接待交際費」と似ている勘定科目とその違い

接待交際費と性質が似ている勘定科目には、「会議費」「接待飲食費」「福利厚生費」などがあります。誤って処理すると税務上の否認リスクにつながることもあるため、それぞれの違いを正しく理解しておくことが大切です。

「会議費」との違い

「会議費」は、本来、社内外を問わず業務上の会議や打ち合わせにかかる費用を処理するための勘定科目です。会場の使用料、会議資料の作成費、会議中の茶菓・弁当代などが代表的です。

一方で、たとえ取引先との会食を伴う接待のような場面であっても、1人あたりの飲食費が10,000円以下であれば、会議費として処理することが認められています(2024年4月より上限が5,000円から10,000円に引き上げられました)。

なお、会議費には損金算入の上限がなく、要件を満たせば全額を経費として計上することが可能です。そのため、企業にとっては接待交際費よりも税務上有利に働く場合があります。

「接待飲食費」との違い

「接待飲食費」は、接待交際費のうち飲食にかかった費用を指す区分名称です。たとえば、取引先との会食や懇親会などで発生した飲食代が該当します。「接待飲食費の50%を損金に算入できる」という特例を利用するには、接待交際費の中から飲食費部分を明確に区分しておく必要があります。そのため、実務では「接待飲食費」という勘定科目や補助科目を使って、他の交際費と区別して計上することが一般的です。

たとえば、資本金1億円を超える法人は、飲食費部分の50%までしか損金算入できないため、金額の把握と区分が不可欠です。接待交際費を一括で処理してしまうと、飲食費の割合が不明となり、適切な税務処理ができなくなるおそれがあります。

「福利厚生費」との違い

「福利厚生費」は、自社の従業員全体のために支出する福利目的の費用に該当します。これに対して接待交際費は、主に取引先や社外関係者との交際を目的とした支出です。

たとえば、忘年会を開いた場合でも対象者によって適切な勘定科目は変わります。

  • 取引先を招いた忘年会 → 接待交際費

  • 自社の全従業員を対象とした忘年会 → 福利厚生費

  • 一部の役員や特定の部署のみを対象とした会食 → 接待交際費

福利厚生費として認められるためには、「全従業員に対して公平に案内されており、ほとんどの従業員が参加できる状況」であることが前提です。対象者の範囲が狭い、または参加条件に偏りがある場合は、福利厚生費ではなく接待交際費とみなされることがあるため、目的や参加者の条件に応じて適切に判断する必要があります。

7. 接待交際費を経費計上する際の注意点

接待交際費は、制度の理解だけでなく、実際の処理時にも注意すべき点がいくつかあります。とくに間違いやすいのが、領収書の管理・消費税の扱い・金券類の処理です。ここでは、経費計上時に押さえておきたい実務的な注意点を2つに絞って解説します。

領収書と接待記録は必ずセットで保管する

接待交際費に限らず、経費として処理するためには、支出の根拠となる領収書の保管が必須です。これは税務上の基本ルールであり、法人税法では、領収書などの証憑類を原則7年間(青色欠損金の控除を受ける場合は10年間)保存する義務があります。

さらに接待交際費については、領収書だけではなく「誰のために・どんな目的で使われた支出か」という接待記録もあわせて保管する必要があります。領収書だけでは第三者には判断しづらく、税務調査などで否認されやすい領域のためです。

以下のような情報を領収書に添えて記録・保管しておきましょう。

  • 接待の目的

  • 接待した相手の氏名・会社名

  • 実施日・会場名

  • 参加人数と内訳(自社・取引先)

こうした情報が明確に残っていれば、支出の正当性を客観的に証明しやすくなり、税務対応のリスク軽減につながります。

消費税の税率・課税区分を正しく把握する

接待交際費にかかる消費税は、内容によって税率や課税・非課税の扱いが異なります。

<間違いやすい消費税区分の代表例>

  • 飲食店での接待 → 店内飲食扱いのため10%(標準税率)

  • 社内で提供する弁当・お茶など → 持ち帰り扱いのため8%(軽減税率)

  • 海外での飲食費 → 日本の消費税は非課税

  • 商品券やギフト券などの金券類 → 使用時に課税されるため購入時は非課税仕入れ

  • お中元・お歳暮などの贈答品 → 商品の購入として課税仕入れ(10%)

このように、支出内容によって適用される税率や課税区分が異なるため、接待の方法や提供形態、贈答品の種類などにも注意が必要です。

8. 接待交際費の仕訳方法

ここでは、実際に接待交際費を記帳するときの仕訳方法の一例を紹介します。

⚫︎仕訳例:取引先との会食で飲食代を支払った場合

たとえば、取引先をレストランに招待し、飲食代として現金33,000円を支払った場合は、以下のように仕訳します。

借方

金額

貸方

金額

摘要例

接待交際費

33,000円

現金

33,000円

レストラン◯◯A商事 田中様との会食(他3名)

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10. まとめ

接待交際費は、取引先との信頼関係を築くために欠かせない支出ですが、税務上は原則として損金に算入できません。ただし、法人の規模に応じて経費として認められる特例措置が設けられているため、そのルールに沿った適切な処理を行うことが大切です。そして、2024年度の税制改正により、この特例は2027年(令和9年)3月31日までに開始する事業年度まで延長されています。税務ルールは頻繁に見直されるため、常に最新の制度を把握し、正確な処理を心がけることが重要です。


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