更新日:
2024/4/16

裁量労働制とは「みなし労働時間制」のひとつで、「労働時間が労働者の裁量にゆだねられている労働契約」のことを指します。今回は、裁量労働制について他の働き方制度との比較や注意点などを解説します。自主的に取り組める人材のいる企業担当者は、ぜひ参考にしてみてください。
裁量労働制は、労働者と雇用者が交わす労働制のひとつです。職種によっては、労働時間と業績が想定どおりに当てはまらないことが考えられます。そのような場合は、労働者の裁量を目安にする制度です。裁量労働を労使間の取り決めでみなし労働時間として給料を決める仕組みになります。裁量労働制には、2つの種類があります。
専門業務裁量労働制とは、労働者の裁量に委ねた業務をみなし労働時間で働いたことにする制度です。対象の業務は、厚生労働大臣の告示で定める業務になります。専門業務型裁量制度が適用されるおもな職種は、次のとおりです。
情報処理システムの分析や設計業務
新商品の研究開発業務
新聞など出版事業における取材編集業務
広告などで扱うデザイン業務
映画制作などのプロデューサーやディレクター業務など
企画業務裁量労働制は、企業の事業活動において企画や立案、調査、分析に携わる労働者が対象となる裁量労働制です。仕事の進め方などを自主的に決めて行動する労働者に向けた制度となります。企画業務型裁量労働制が適用される対象事業の条件は、次のとおりです。
本社及び本店の事業場
本社及び本店の事業を運営する企業に大きな影響を及ぼす決定権のある事業場
本社及び本店を運営する企業に大きな影響を及ぼす自立した支社や支店事業場
※参照元:裁量労働制の概要 |厚生労働省
裁量労働制では、状況に応じてあらゆる労働時間制度を導入できます。
見直し労働時間は、裁量労働制において最も適用される労働時間制度です。実働が6時間としても、所定の8時間勤務したこととみなします。また実働が11時間だとしても、所定の8時間とみなされるケースも考えられるでしょう。
みなし残業制度は、あらかじめ月の残業時間を想定して固定残業代を支払う制度です。みなし残業は、労使間によるお互いの合意がなければ労働契約法第8条が適用されて違法となります。
※参照元:労働契約法 | e-Gov法令検索
36協定は、労働基準法第36条で定められている労使間協定のことです。会社が従業員に対して、法定労働時間を超える時間外労働や休日勤務を命令する場合に必要になります。会社と労働組合が締結する協定のことです。
※参照元:36協定で定める時間外労働及び休日労働 について留意すべき事項に関する指針|厚生労働省
裁量労働制では、休日出勤や深夜労働が割増手当の対象となります。
割増賃金率とは、労働基準法で定められた残業等に対する賃金の割増率です。法定労働時間よりも長く労働することや、法定休日に労働すること、深夜に労働することは、労働者の心身にとって重い負担となるため、これらの割増率が設定されています。

また、2023年4月より働き方改革関連法施行とともに中小企業も含めて対象範囲が広がりました。
※参照元:2023年4月1日から月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます|厚生労働省
裁量労働制は、他の労働制と混同される点もあるので違いを比較してみましょう。

裁量労働制と事業場外みなし労働時間は、対象となる職種の有無以外、共通点が多くなります。
裁量労働制は、勤務間インターバル制度と同じく働き方改革の一環として促進が検討されています。裁量労働制とは異なる勤務間インターバル制度について解説しましょう。
勤務間インターバル制度は、時間外労働により勤務終了から翌日の勤務開始までの時間に一定のインターバル(勤務外休息時間)を設けるための制度です。制度導入には、労働者の生活時間と睡眠時間を確保する目的があります。
勤務間インターバル制度は、企業に対して努力義務範囲で2019年4月より施行されています。過度な長時間労働を是正する役割があります。厚生労働省よりインターバル時間として確保を求められている時間は、8時間〜12時間です。国内における労働時間短縮へ向けた取り組みとなります。
※参照元:勤務間インターバル制度導入・運用マニュアル|厚生労働省
裁量労働制には、注意点と課題があります。導入を進めても制度が適用されない場合もあるので注意が必要です。
裁量労働制は、対象となる業種があります。そのため、適用されない業種もある点に注意が必要です。
※参照元:専門業務型裁量労働制|厚生労働省
裁量労働制は、労働環境を整備することが目的になります。しかし、裁量労働制は状況によって、長時間労働や休日出勤となることも考えられるでしょう。長時間労働になりがちであれば、基準となるみなし労働時間と実務内容の見直しが必要です。
成果を指標とする裁量労働制は、評価システムが明確に設定されていないと判断が難しくなります。裁量労働制により契約する際は、具体的な成果を明記した評価システムをもとに取り組むことが重要です。
管理者によっては、残業判断を労働者の裁量に任せられると誤解することも考えられます。裁量労働制は、みなし労働時間であっても法定労働時間と36協定が適用されるため、就業規則に反する残業時間については、管理者の判断が必要です。
そもそも、業務内容が複雑で、規定時間に業務を終えることが難しければ裁量労働制が活かされません。そのため、企業次第では裁量労働が機能しないことも考えられます。この場合は、労使間の見直しが必要になるでしょう。
今回の記事では、裁量労働制について、他の労働制度との違いや注意点などを解説してきました。裁量労働制は、労働者の裁量に委ねられる分、事前の労使協定が重要となります。
導入には、裁量判断による労働を「何を目的に導入するのか?」と、明確なビジョンを持つことが大事です。裁量労働制の中身を把握したうえで導入を検討しましょう。
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