更新日:
2025/6/23

コロナ禍で広まることとなったテレワークですが、最近では「テレワークの廃止・見直し」を検討する企業も増えつつあります。在宅勤務が当たり前になったはずの今、なぜ“テレワーク廃止”の動きが出てきているのでしょうか?この記事では、テレワーク廃止の背景や理由、検討時の注意点について詳しく解説します。自社のテレワークについてお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。

コロナ禍で広まることとなったテレワークですが、最近ではテレワークの廃止を検討する企業が増えつつあります。
総務省が発表した「令和5年 通信利用動向調査」によると、テレワークを導入している企業の割合は、2022年度には51.7%でしたが、2023年度には49.9%へとわずかに減少しました。数字の変化自体は大きくないものの、この流れはテレワークの普及が「拡大」から「見直し」のフェーズへ移りつつあるとも言えます。
とくに、コロナ禍をきっかけに一時的に導入した企業では、感染症対策としての役割が終わりつつある中で、「本当に続けるべきか」を再評価する動きが出てきています。
テレワークの見直しは中小企業だけでなく、名だたる大手企業でも進んでいます。以下は、近年テレワークの原則廃止や制限を発表した主な企業の例です。
企業名 | テレワーク廃止後の出社方針 |
ホンダ | 原則出社 |
GMOインターネットグループ | 原則出社 |
楽天 | 週4日出社 |
Apple | 週3日以上出社 |
週3日以上出社 | |
Amazon | 週3日以上出社 |
業種や企業文化によって対応は異なるものの、「出社の価値」を見直す動きが共通して見られます。

テレワークは柔軟な働き方として多くのメリットがある一方、運用が難しいと感じる企業も少なくありません。ここでは、企業がテレワークを見直す主な理由を紹介します。
コミュニケーション不足を解消するため
勤怠管理・評価が難しいため
生産性が下がるため
感染症対策としての一時的な導入だったため
コミュニケーション不足を解消するためにテレワークを廃止する企業は増えています。
テレワークでは業務に必要なやり取りはできても、軽い雑談や相談が生まれにくくなります。こうした何気ないやりとりが減ることで、チーム間の関係性や情報共有のスピードに影響が出るケースもあります。
また、若手社員の育成に課題を感じる声も目立ちます。現場で自然と学ぶ機会が減り、「見て覚える」「聞いて学ぶ」といったOJTの機能が弱くなったと感じるマネージャーも多いことでしょう。
テレワーク中の勤務実態を正確に把握するのは難しいものです。「何をしているのか分かりにくい」「結果だけで評価することが難しい」といった管理側の不安が、テレワーク継続にブレーキをかけている背景もあるでしょう。
特に評価制度や業務の可視化体制が整っていない企業では、マネジメントが属人的になりやすく、評価に対する納得感を得にくいという課題もあります。
業務内容によっては、リモートではパフォーマンスが出にくいケースもあります。たとえば、複数人での意思決定が求められる会議や、営業・企画のような創造的な業務では、対面のほうがテンポよく進むという場合も少なくありません。
また、書類の押印や紙ベースの資料を扱う業務、社外秘の情報を取り扱う業務など、物理的にオフィスにいる必要があるケースも依然として存在します。
テレワークの導入がコロナ禍における「感染症対策」の一環だった場合、そもそも恒久的な制度として整備されていない場合もあります。感染拡大のリスクが落ち着いたことで、「本来の働き方に戻す」という判断がなされているケースもあるでしょう。
テレワークをやめるという決断をする際、ただ「出社に戻す」というだけでは済みません。ここでは、廃止にあたって多くの企業が直面する課題を紹介します。
従業員の反発・モチベーションの低下
就業規則や制度の見直しが必要
人材採用・定着への影響
オフィス再整備や通勤コストの増加
経営・管理層と現場の温度差
1つ目は、従業員の反発やモチベーションの低下です。通勤を前提としない働き方に慣れていた従業員にとって、急な出社要請は大きな負担に感じられることがあります。通勤時間やストレスが再び日常に戻ってくる中で、「なぜ出社が必要なのか」が明確でないと、不満や不信感が生まれやすくなります。
説明が不十分なままテレワークを廃止すれば、「会社の都合だけで動いている」と感じられ、離職や転職の検討につながる可能性も否めません。
テレワークを正式な勤務形態として制度化していた場合、就業規則や制度も変更しなければなりません。勤務地や労働時間、通勤手当などの条件を再整理する必要があります。
制度を廃止したあとの対応が曖昧なまま進んでしまうと、社員とのトラブルにつながるリスクもあるため、慎重な手続きが求められます。
柔軟な働き方を重視する人材にとって、出社必須の体制がマイナスに映ることもあります。最近では「テレワークができないなら応募しない」という求職者も増えてきており、採用競争の中で不利になることも考えられます。
また、テレワークであれば家庭の事情や居住地の関係でフル出社が難しい優秀な人材を雇用するチャンスがありますが、テレワークの廃止により雇用できない可能性もあります。
テレワークの廃止により、空いていたデスクの再配置や会議室の確保、電気代や空調費など、オフィスの運営にかかる費用が増加します。出社前提の体制に戻すことで、社内の設備や環境の見直しも行わなければなりません。
さらに、交通費や出張費などの経費も、テレワーク時より大きくなる傾向にあります。
経営・管理層と現場の温度差にも注意が必要です。経営陣が出社を推進していても、現場の社員がテレワークによって十分成果を出せていると感じている場合、不満の声が上がってしまうかもしれません。
特に「顔を見ないと管理できない」といった理由での廃止は、現場から反発を招きやすいでしょう。一方的に方針を押しつけるのではなく、明確な理由を持って説明することが大切です。
テレワークの適性は、業種や企業の文化によって異なります。ここでは、在宅勤務が向いている企業の特徴と理由をまとめました。
テレワークがおすすめな企業の | 理由 |
業務の大半がPCで完結する | 物理的なやりとりを必要としない業務が中心であれば、テレワークでも支障は出にくい。 |
成果主義が浸透している | 勤務態度よりも「結果」で評価する仕組みが整っていれば、働く場所に左右されにくい。 |
従業員が自律的に動ける | 個々が目標を理解し、自己管理のもとで働くスタイルが根づいている場合、細かな指示や監視が不要。 |
ITインフラやツールが整備されている | リモートアクセス、クラウド管理、チャット・ビデオ通話など、必要なツールがスムーズに使える環境があれば、業務の停滞が起きにくい。 |
一方で、出社して働くことに価値がある業務や環境も存在します。ここでは、オフィスワークが合いやすい企業の特徴を見てみましょう。
オフィスワークがおすすめな企業の特徴 | 理由 |
対面でのやり取りが多い業務を | 人とのリアルなやり取りが日常にある仕事は、物理的な距離が必要不可欠。 |
現場での作業や製造・物流業務がある | 場所を選べない業務がある場合、オフィスまたは現場での勤務が前提となる。 |
OJTや若手教育を重視している | 新入社員や若手メンバーに対して、対面での指導やフォローが欠かせない場合は、近くでサポートできる環境のほうが適している。 |
チームでのスピード感を重視している | 日々の連携や相談を密にしながら動くことが重要な業務では、リアルな空間での会話の方が効率的なケースもある。 |
オフィスワークには、空気感や連帯感といったオンラインでは得にくい要素も多く含まれます。「出社の意味」が明確であれば、従業員にとっても納得しやすくなるでしょう。
廃止を検討する際は、以下のようなポイントを押さえておきましょう。
廃止の「目的」と「効果」を明確にする
従業員の理解・納得を得られるか
代替案がないか検討する
まず確認したいのは、「なぜテレワークを廃止するのか」という理由です。
目的が曖昧なままでは、制度を変えても納得感が得られません。「生産性を上げたい」「チームの結束を強めたい」「評価や管理の課題を解決したい」など、廃止の先にどんな効果を期待しているのか、社内で共通認識を持つことがポイントです。
制度の変更は、働く側にとって大きなインパクトがあります。一方的な通知だけで進めてしまうと、不信感や反発が広がる恐れがあります。
従業員の声を聞き、なぜ見直す必要があるのかをしっかり説明する場を設けましょう。アンケートや説明会など、双方向のコミュニケーションを通じて、制度の背景を伝えることが重要です。
目的によっては、すぐにテレワークを完全廃止する必要はないかもしれません。たとえば「週に数日だけ出社する」「必要なタイミングで出社する」といったような働き方も考えられます。特にコミュニケーション不足が課題となっている場合、チャットツールやオンライン会議など、コミュニケーションツールの使い方を見直すことで、課題が解消されるケースもあります。
また、出社が必要となる理由の一つに「書類を受け取るため」「社内便を送るため」といったアナログな運用が残っているケースも少なくありません。

株式会社トドケールが提供する『トドケール』は、郵便物・配達物の受け取り・発送・社内便管理までをトータルサポートするクラウドサービスです。テレワークやハイブリッドワーク環境での利用に便利です。ご興味のある方は、ぜひお問い合わせください。
「テレワークか出社か」の二者択一で決めるのではなく、「ハイブリッドワーク」という働き方もおすすめです。ハイブリッドワークとは、オフィスでの勤務とリモートワークを組み合わせた柔軟な勤務形態のこと。たとえば、週2日はリモート、週3日は出社といった形式で、会社ごとに運用ルールを決めることができます。
「出社が必要な日は出社し、それ以外は自宅で集中する」といった柔軟な運用が可能になるため、従業員の納得感も得やすくなります。社内で意見が分かれている場合、いきなり出社体制に戻すのではなく、ハイブリッドワークを検討してみるとよいかもしれません。
最後に、テレワークの廃止に関するよくある質問をまとめました。
テレワークが浸透しない理由は?
テレワークでサボってしまう人はいる?
トヨタはテレワークを廃止した?
テレワークが浸透しない理由には、以下のようなものがあります。
評価や管理が難しい
コミュニケーションの質が下がる
組織文化が伝わりにくい
OJTやチームビルディングが機能しにくい
セキュリティやシステム面での不安がある
制度として導入しても、運用が整っていなければ浸透は難しくなります。ルールづくりやツールの活用、マネジメントの工夫などを行いましょう。
テレワークの導入により、正確な勤怠管理が難しくなる可能性はあります。ただし、出社・テレワークに限らず、「働きぶりにばらつきが出る」リスクはあります。
大切なことは、“成果を可視化できる環境”をつくることです。目標設定やフィードバックを適切に行える環境が整えば、従業員はテレワークでも高いパフォーマンスを発揮できるでしょう。
2025年3月時点で、トヨタ自動車本体ではテレワークを全面的には廃止していません。ただし、北米部門など一部の部門では、「週に4日の出社」といったように対面での勤務を原則とする動きが見られています。
テレワークを見直す動きが広がる一方で、出社への切り替えには慎重な対応が求められます。業務の効率やコミュニケーションの質を改善したいなら、ただ「テレワークを廃止する」というだけでなく、運用の見直しや目的の明確化がポイントとなります。
社員の声に耳を傾けながら、自社にとって最適な働き方を探っていくことが大切です。また、いきなりテレワークを全面的に廃止するのではなく、ハイブリッドなど柔軟な方法も含めて検討すると良いでしょう。
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働き方の見直しとあわせて、オフィス運営の仕組みも整えていくことが、これからの時代のスタンダードとなっていくでしょう。
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