更新日:
2024/4/12

世の中には様々なSaaSが存在し、その存在感はこの10年の間で大きくなっています。今日では法人・個人を問わず、仕事をする人であれば、普段から何かしらのSaaSに触れる機会があるはずです。一方、SaaSの数が多くなってくるとそれぞれにどんな違いがあるのかが分かり辛くなってきます。SaaSを導入して、業務を効率化しようとしても、お値段以外の違いを検討することも一苦労です。というわけで、本日は公認会計士・税理士の資格を持つトドケール代表が会計部門で役に立つ請求書を処理するSaaSについておススメする8つのSaasをご紹介したいと思います。
請求書を処理するためのSaaSシステムには多くの選択肢があります。値段だけではなく様々な相違点があるため、システムを選択する際にはその特徴を理解して自分たちのニーズを十分に考慮することが重要です。中でも請求書に関するSaaSはサービスが発展してきた経緯によって、提供されている機能や活用できる業務の範囲が異なっていますので、発展の経緯も含めて比較することをお勧めします。
本日ご紹介する請求書を処理するSaaSは以下の8つです。
freee 会計システム型
バクラク 請求書特化型
sweeep 請求書特化型
Invox 受取代行型
Bill One 受取代行型
TOKIUM請求書 経費申請派生型
楽々清算 経費申請派生型
ペイトナー請求書 支払代行型

会計システムの一部の機能として請求書を処理する機能が搭載されているのが、「会計システム型」です。会計システムの機能の一部として請求書を処理する機能が提供されているため、経理が処理するという観点で最も効率が良い形で機能が提供されています。
「会計システム型」が適している企業
・ まだ人数が多くない企業スタートアップ企業
・ 経理が一人でまかなえる程度の企業
・ 簿記を理解している人がいる企業
・ とにかくSaaS利用料を安く済ませたい企業

クラウド会計システムの代表格であるfreeeには「ファイルボックス」と呼ばれる機能がついています。「ファイルボックス」は請求書のみでなく、経費の領収書といった証票をPDF形式で格納するとその情報をOCRにて解析して、自動で仕訳を登録することができます。会計システムという性質上、経理の使い勝手を重視している印象があり、仕訳の登録や支払を実行して、消しこむといった経理の作業まではスムーズですが、人が多くなってきたときに必要な請求書を確認して承認するといったプロセスへの対応はいまいちという印象です。

「請求書特化型」は請求書を処理することに特化している、若しくは請求書の処理を最初に解決する課題として作られたサービスを指します。このエリアにはバクラクとsweeepという2大サービスが存在しています。請求書の処理に特化して始まったことから請求書を処理する体験は全てのカテゴリーの中で最も優れています。請求書を処理する経理のみでなく、受け取る従業員の体験も考慮されているため、承認フロー等が実装されている特徴があります。一方、請求書の処理に特化しているため、それ以外の機能は提供してくれません。
「請求書特化型」が適している企業
・ 従業員数名~100名程度の企業
・ 紙面の請求書が月に100枚以下の企業
・ 取引先からの請求書のほとんどが電子化されている企業
・ 請求書処理に特化して業務を改善したい企業

有名なスタートアップであるLayerXが提供する請求書処理に特化したSaaSです。請求書の読み取りに特化したAI-OCRを実装しており、文字解析の精度が他のシステムより高いとされている他、外部システムとの連携も強化されており、請求書の処理をするにあたっては理想的な体験を提供してくれます。
また、経費や請求書処理に焦点を当てて始まったサービスであったバクラクですが、近年では事業ドメインを「法人支出」に拡大し、そのサービスの範囲を広げています。例えば、請求書の受け取り代行サービス、領収書による経費精算のプロダクト、ビジネスカード、承認フローなど広範にわたるサービスを続けざまにリリースし、サービスの範囲は拡大を続けています。

請求書処理に特化した「請求書特化型」におけるバクラクの対抗馬がsweeepです。請求書の処理に特化しているため、その処理における体験はバクラクと同様に素晴らしく、かつ、必要な機能をオールインワンで提供してくれているため、これ一つで請求書の処理はお任せというシンプルさが嬉しい作りとなっています。「とりあえず請求書の処理を楽にしたい!」とお考えなら「とりあえずsweeep」をお勧めします。

「受領代行型」は「紙の請求書を電子化することが面倒」という経理の声に応えて開始されたサービスです。これまではSaaSと言えばソフトウェアの提供にとどまっていたところ、紙面の請求書を指定の住所に送れば受け取った上で電子化してくれるという受取代行のサービスが附随することが特徴となります。紙で届く請求書が多い場合、紙面をPDFにしてシステムに格納する作業が多くなり、経理を悩ませてきましたが、これにより紙面の請求書も電子化されるようになりました。しかし、指定の住所に請求書を送るよう取引先に依頼することを徹底する必要があるなど、請求書をPDFにする負担がない代わりに導入や運用にある程度の工数がかかります。同時に利用料金も請求書特化型に比べて割高になります。
「請求書受取代行型」が適している企業
・ 紙面の請求書が月に100枚超ある企業
・ 取引先が多く、紙面の請求書が多い企業
・ SaaSの利用に予算をとることができる企業
・ 請求書処理に特化して業務を改善したい企業

受取代行型の代表といえばinvoxです。請求書を受け取り、スキャンしてくれる専用のスキャンセンターを構え、請求書からのテキスト読み取りもAI-OCRのみではなくオペレーターによる入力もオプションとして備えるなど、invoxはシステムのみを提供するというそれまでのSaaSのスタンスを大きく変えました。あくまでソフトウェアという無機質で冷たいSaaSを人が運用することで「プロダクト」から「サービス」へと変化させました。請求書の処理に関連する業務の一切を無くしたいと考えるならinvoxがおススメです。

名刺管理のCRMで有名な「SanSan」が提供する請求書受取代行サービスです。「請求書受取代行型」に分類され、基本的なサービスの内容にinvoxと大きな差はありませんが、違いがあるとすればメガベンチャーとしてのサービス・プロダクト品質とその提供のスピードでしょう。この記事の執筆時点である2022年8月で、すでに2023年10月より開始されるインボイス制度を見据えた機能の提供を行っており、受け取った請求書を処理するのみでなく請求書発行の業務までもサービスの対象としています。名刺データを利用して大きくなった企業であり、請求書の発行と処理の両方を対象としたサービス展開は企業間取引のデータを把握し、利用するという新しい分野への布石にも見えます。完全ペーパーレスとなる未来を目指す企業はSanSanがお勧めなのかもしれません。

「経費申請派生型」は名前の通り(私が勝手につけたのですが。。。)、経費申請を効率化するSaaSから始まった企業が機能を拡張した結果として登場した請求書処理機能です。このタイプの請求書処理のSaaSは経費申請のアプリケーションですでに成功した資金力がある企業が提供しているため、最初から完成度が高く、サービスラインの幅が広いことです。一方でラインナップが多すぎるため、サービスの特徴を把握しづらく、いまいち選びづらいというデメリットもあります。
「経費申請派生型」が適している企業
・ 比較的規模が大きい企業
・ どんな請求書にも対応できる体制を整えたい企業
・ 請求書に限らない周辺のプロセスも効率化の対象にしたい企業
・ SaaSの利用に大きな予算をとることができる企業
・ SaaSに相互連携した多くの機能を求める企業

「TOKIUMインボイス」の特徴は徹底してデータ入力の精度を追求するサービス理念にあります。他社がOCRを利用してデータを読み取る機能を提供するのに対して、TOKIUMはオペレーターによる入力を徹底し、画像から入力されるデータの精度にこだわっています。その結果、99.9%以上という高いデータ入力精度を誇り、OCRによる解析のように結局システムに入力される請求書データの補正が必要となることがほぼありません。規模の大小に関わらず、「とりあえず経費精算から請求書処理まで一つのアプリで統一したい」、かつ、手作業を徹底して無くしたいという企業様にはおススメです。

楽楽清算もTOKIUMと同様に経費精算から始まったサービスです。大企業から中小企業までに対応でき、かつ、請求書の受領処理だけでなく、発行まで対応できるとそのサービスの範囲が広いことに特徴があります。その他にも販売管理・労務勤怠管理など幅広いラインナップを揃えており、主要な会計システムとの連携が実現されており、それに付随する機能を全て統一して揃えたいという場合には楽楽清算がおススメです。

近年、新しく登場したのが「支払代行型」です。従来の請求書処理SaaSは社内のプロセスのほぼすべてを網羅していましたが、唯一、対象としていなかったのが実際の支払です。これまでのSaaSは全銀データのような支払データを出力し、支払は各社の銀行システムから実行してくださいというプロセスを提供してきましたが、「支払代行型」は支払の実行まで対応してくれます。利用する企業はSaaSの提供企業が用意する一つの口座に支払総額を前払いするのみで、そこからの支払は全てSaaSで実施してくれます。つまり、全銀データをダウンロードして、銀行システムにログインしてファイルをアップロードして、大量の支払いを実行するといった業務がなくなります。
同時にこの機能を提供する企業はファクタリングサービスから派生して登場した経緯があるため、一緒に提供されているファクタリングサービスを利用すれば、手数料はかかるもののすぐに現金が手に入るため、1か月分のキャッシュフローが改善するという金融機能も提供してくれます。大量の振り込み作業を実施する必要がないというメリットと短期的な融資というメリットを提供してくれる新しいタイプの請求書処理SaaSが「支払代行型」です。
「支払代行型」が適している企業
・ 簿記や支払プロセスなど経理回りの知識が全くない企業
・ フリーランスや個人事業主、一人会社など、経理に時間を割けない企業
・ ひと月支払を遅らせることができれば資金繰りに大きな改善が見込める企業

2022年8月現在、「支払代行型」の請求書処理SaaSとしてはペイトナー請求書が最も知られているサービスとなります。ペイトナー(旧社名:yup)は売掛金ファクタリングサービスの提供から始まった会社で、その延長として請求書支払代行のSaaSも提供をはじめました。これまでの請求書処理SaaSにはない特徴を備えた唯一無二のサービスであり、新しいニーズを開拓しています。請求書の支払処理をする経理スタッフがいなかったり、短期的なキャッシュフローの改善ニーズがある企業にお勧めです。
何ができて何ができないのかも選ぶうえでは重要な要素です。基本的に大きな差はありませんが、それぞれの思想や発展の段階に合わせて機能の充実度が異なる部分もあります。一方で、その場での機能の充実度のみで選定をするとその後のプロダクトの進化に伴い実装される機能が結局は自分たちが求めている体験であったという可能性もあります。
重要なことは「プロダクトがどんなセグメントの顧客を想定して作られているのか?」を理解し、「自分たちがそのセグメントに当てはまっているのか?」を検討することです。システムを提供する企業はターゲットセグメントの顧客の体験を最適化するようにシステムを構築しますので、自分たちがそのシステムを提供する企業のターゲットセグメントであれば、時間とともにプロダクトは進化して、自分たちの業務を楽にしてくれるようになります。システムの選定をする際には機能面だけではなく、システムの思想やターゲットセグメントを理解するようにすることをおすすめします。

請求書を処理するためのSaaSを8つ紹介してきました。こうやって見ると、請求書処理のためのSaaSと言えど、それぞれに特徴があり、適している企業にも特徴があることがわかります。ここに記載した適した企業の例はある程度の目安であって、個々のビジネスの特徴によっては、正しくない場合もあります。
導入前には自社のビジネスやプロセスを評価して、コストとメリットを比較しながら最適なSaaSを選びましょう。
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