更新日:
2025/5/16

昨今ではその日の仕事内容や気分に応じて自由に席を選べるオフィスレイアウト術”フリーアドレス”の人気が高まっています。人気はあるけど全ての企業においてメリットはあるのでしょうか。本記事では人気急上昇中のフリーアドレスのメリットや成功させるポイントを解説していきます。
「フリーアドレス」とは、従来のオフィスのように社員それぞれが持つ個人専用のデスクはなく、フロアに長机や椅子が設置されているところに、自由に作業場所を選んで仕事をするデスクスタイルのこと。イメージとしてはちょうどカフェのような感じです。
ソファなどがあるスペースが用意されていることもあり、柔軟なオフィス形態が人気を集める理由の1つでもあります。
また、ノートPCと無線LAN、もしくはタブレット端末やスマートフォンなどを使用するモバイル端末を多く使用する職場で効果を発揮しやすいのもフリーアドレスの特徴です。
ノートPCを社員に貸与したり、すべてのフロアにWi-Fiを導入したりして、どのエリアでも仕事ができるよう工夫をしているオフィスもあります。
今ではよく耳にする「フリーアドレス」ですが、このデスクスタイルが普及した背景はいくつかあります。以下でその導入背景をご紹介していきましょう。

コロナ禍をきっかけに、多くの企業でリモートワークが急速に浸透しました。その結果、常に全社員がオフィスにいる必要がなくなり、空席が目立つようになったという声も増えています。こうした状況を受けて、限られたオフィススペースを効率的に活用する方法として、フリーアドレスの導入が進んでいます。
フリーアドレスでは、出社した社員がその日の業務内容や気分に応じて自由に席を選ぶことができるため、空間を無駄なく使えるのが大きな特徴です。働き方の自由度が上がり、多様な働き方に対応しやすくなるという利点もあります。
フリーアドレスが広がるもうひとつの要因は、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進です。業務のクラウド化やペーパーレス化が進んだことで、仕事に必要な情報が紙の資料や社内のパソコンに縛られず、どこからでもアクセスできるようになりました。
具体的には、以下のような変化が背景にあります。
クラウドストレージ:資料やファイルをオンライン上で一元管理
オンライン会議ツール:席を問わずに打ち合わせが可能
ペーパーレス化:紙を使わないため、個人の書類保管スペースが不要
このように、DXによって物理的な場所の制約が減ったことが、フリーアドレスの実現を後押ししているのです。
社内のコミュニケーションを活性化できることが、フリーアドレスを導入する大きなメリットの1つです。
固定席の場合、一般的に、部署単位で1島といったように、組織単位で区画分けをしてレイアウト組み、予め誰がどこの席に座るのかを指定します。
そのため、情報交換や日々のコミュニケーションを取る相手が、特定の人に限定されやすいという傾向があります。
フリーアドレスでは自由に席を選べるため、あまり話したことがない他部署の従業員とも接する機会が多くなります。直接的な関わりが少ないからこそ、「気兼ねなく意見を交換しやすい」と感じるケースもあります。
上司と部下の席も区別がなくなることで、組織における縦の障壁が希薄になり、以前よりもコミュニケーションを気軽に取れる社風になることが多いです。
フリーアドレスでは固定の席がないため、働き方に合わせたスペースの活用ができます。現状と同じオフィスのまま、余ったスペースをオンラインMTGに対応するエリアにしたり、休憩スペースにしたりと、変化していく働き方に合わせて様々な用途で使用することが可能になります。
またプロジェクトごとに同じチームの社員で近い席になるように席替えができるのもフリーアドレスのメリットです。プロジェクトメンバー同士の距離が近くなれば、ミーティングを行うための準備時間が削減でき、プロジェクトの進捗確認もすぐに行うことができるため、生産効率向上にも繋がります。
在席率に応じてオフィスを有効活用できるのは、フリーアドレスのメリットの1つです。フレックスタイム制を導入している、短時間勤務のパートタイマーが多い、コロナ禍においてはテレワークを推進している企業は、特に大きなメリットを感じることでしょう。
フリーアドレスはその時間にオフィスにいる従業員の席があればよいため、テレワーク、外回りなどその場にいない従業員の席を常に確保しておく必要はありません。つまり全社員分の座席を用意する必要がないのです。
日中外出することの多い営業部の席やミーティングで離席することの多い企画部の席は座席の数を社員数より少なめに設定する、設計部のような1日中デスクから離れない部署の席は社員数と同等の数に設定する、など使用実態に合わせて最適化することでスペースの効率化を図ることができます。
フリーアドレスは企業立ち上げと同時に導入する場合は、デスクや椅子といったオフィス用品費用を初期投資の段階で削減できます。
しかし従来のオフィス形態である社員1人1人に席が設けられている場合、オフィス全体のレイアウト変更やフリーアドレスに向いている長机の購入、また不要なデスクや椅子の廃棄といったコストがかかります。
初期段階からフリーアドレスに慣れていれば良いのですが、従来のオフィス形態からフリーアドレスに変更する場合は、仕事のやりづらさや戸惑いから作業効率が落ちる場合があり、費用対コストが見合わない場合があります。
コミュニケーションが活発になりますが、人によっては集中しづらい環境になってしまうことも懸念されます。オープンすぎる環境は人によっては集中力が低下する恐れがあります。
また個人の席のように自席に好きなものを置いたりすることができずに、自分が仕事をしやすい環境を常に維持できないため、生産効率が下がる場合があります。
自席が固定されていれば、座席表をもとに尋ねることで本人と話ができます。不在であれば、メモを置くなどしても何の問題もありません。
しかしフリーアドレスの場合、誰がどこにいるのかが決まっていないため、対象人物に直接会いたい場合、探し歩くことになるのです。
また部署という概念が希薄になりやすいので、部署内でのコミュニケーション不足への不安を感じるケースもあります。
メールやチャットで済む用件ならばどこにいても支障はありません。しかし直接コミュニケーションを取りたい際、相手がどこにいるのか分からない状況は手間がかかります。

フリーアドレスの導入は、単なる「席を自由にする」制度ではありません。実際に運用を始めると、想定外の不便さや業務上の支障が生じることもあります。とくに、従来の固定席文化に慣れた組織では、社員の戸惑いや混乱も少なくありません。ここでは、フリーアドレス運用における主な課題と、それぞれに対する現実的な解決策をご紹介します。
「今日は〇〇さんどこにいるの?」「上司が見つからない」フリーアドレス導入後に頻繁に聞かれるようになるのが、こうした声です。これまで当然のように“いつもの席”にいた同僚がどこにいるかわからない状況は、ちょっとした会話や相談のハードルを上げてしまいます。
出社時に座席を登録するタイプのツールや、リアルタイムで在席状況を可視化できるアプリを導入することで、「探す手間」を解消できます。社員の所在を一目で確認できるだけでなく、空いている席の把握や会議スペースの予約にも役立つため、運用全体がスムーズになります。
「今日はどこに何を置こう?」と悩む社員が増えるのも、フリーアドレスあるあるです。毎日違う席で働くということは、自席の引き出しや棚を持てないということ。資料や備品、ちょっとした私物などの管理に困るケースも少なくありません。
社員ごとにロッカーや鍵付き収納スペースを設けることで、荷物の持ち運びによるストレスを軽減できます。加えて、PCや業務端末を充電・保管できるようなロッカーであれば、セキュリティ対策や業務効率の向上にもつながります。
オープンな空間で誰でも自由に座れるということは、逆に言えば“静かな場所を選びにくい”という状況でもあります。会話が多いエリアに座ってしまったり、周囲の動きが気になったりと、業務に集中できないという悩みも出てきます。
執務エリアをあらかじめ「集中エリア」「会話OKエリア」「チーム作業エリア」などに分けることで、社員が目的に合わせて適切な場所を選べるようになります。また、パーティションや吸音パネルなどを活用すれば、音環境への配慮も可能です。
物理的な距離ができることで、心理的な距離も広がってしまうことがあります。毎日違う席に座るうちに、チームメンバーとの雑談や小さな相談が減り、結果としてチームワークに影響が出ることもあります。
がバラバラでも、週に一度の対面ミーティングや朝のオンラインチェックインを取り入れることで、チームのつながりを維持できます。コミュニケーションの機会を意識的につくることで、関係性の希薄化を防ぐことができます。

フリーアドレスを検討する際に、よく混同されるのが「ABW(Activity-Based Working)」です。ここではフリーアドレスとの違いを整理して解説します。
フリーアドレスは主に「座席を自由に選ぶ」ことに焦点を当てたオフィス環境です。一方で、ABWはさらに広い概念で、オフィス内外を問わず業務内容や目的に最適な働く場所を柔軟に選択できる働き方を指します。
ABWは単に座席を選ぶだけでなく、作業内容に応じて「集中スペース」「コミュニケーションスペース」「リラクゼーションスペース」など、多様な機能を持つエリアから自由に選択して仕事を進められるのが特徴です。
フリーアドレスとABWのどちらが自社に適しているかは、以下のポイントを踏まえて判断しましょう。
業務内容や作業形態の多様性
まず、自社の業務内容を見直してみましょう。個人での集中作業が多いのか、グループワークやミーティングが頻繁に行われるのか、あるいは電話やオンライン会議が中心なのかなど、業務の種類や特徴を整理します。作業の種類が多様で、それぞれに適した場所を使い分けることで生産性が高まる場合はABWの導入が効果的です。一方、デスクを自由に使う程度で十分対応できる業務の場合は、フリーアドレスが適しています。
オフィス外での勤務頻度
テレワークや出張、顧客先での業務が多い企業であれば、オフィス外でもスムーズに働けるよう設計されたABWが適しています。社内外問わず柔軟に働ける仕組みが整うことで、生産性向上や社員の満足度向上にもつながります。一方、基本的に社内勤務が中心で、オフィス内での移動だけを想定している場合は、シンプルなフリーアドレスが効率的です。
社員の自律性や働き方改革への取り組み
ABWの運用は、社員が自らの業務を管理し、目的に応じて適切な働き方を自律的に選べることが前提となります。そのため、ある程度自律的に働ける社員が多く、会社として積極的に働き方改革や多様性促進を推進している場合に向いています。社員の自主性を引き出すことが課題であれば、まずはフリーアドレスからスタートし、徐々にABWへ移行することも検討するとよいでしょう。
業種や部署によっては1日中自席で作業する場合もあります。そのような場合にフリーアドレスを適用してしまうと、常に席が埋まっている状況で空いてる席を探す手間がかかります。
フリーアドレスを導入する場合は部署毎の業務内容を精査してから業務の性質を把握し、おおよその社員の在席率を出す必要があります。
経理や人事、法務、管理部門、金融業などの個人情報や機密情報を扱う業種や部署は、フリーアドレスには向いていません。情報漏えいのリスクが高まるからです。
こうした情報は、ペーパーレス化も容易ではありません。紙のまま扱うなら1ヶ所で集中管理するのが望ましく、分散させるのは危険ですし、必要になるたび所定の場所へ取りにいくのも面倒でしょう。固定席のほうが安定した管理ができます。
従業員数が多い大企業の場合、部署のマネジメント方式やオフィス間のルールがしっかり固められているため、その状況から大きくオフィス構成を変えた場合は費用対コストに見合わない結果になることがあります。
従業員数が多いため、全員がフリーアドレスに対応するまでに膨大な時間がかかり、フリーアドレス移行期間が長くなるのも不向きな理由の1つです。
また大企業の場合は一般的な座席固定のオフィスで働いてきた社員が多いため、フリーアドレスを受け入れられない可能性もあります。

フリーアドレスを導入しただけでは、理想的な働き方の実現にはつながりません。重要なのは、導入後の運用まで見据えた「設計」と「共有」です。ここでは、制度を定着させるために押さえておきたい基本のポイントと、フリーアドレスの効果を引き出すために役立つツールをご紹介します。
まず大切なのは、「なぜフリーアドレスを導入するのか」という目的を社内全体で共有することです。
例えば、「オフィスの縮小が目的」なのか、「部署間の交流を促進したい」のか、あるいは「業務の柔軟性を高めたい」のかで、設計のアプローチは異なります。
社員にとって制度が“押しつけ”に感じられないよう、目的やメリットを丁寧に伝え、社内説明会やガイドラインの配布を通じて理解を促しましょう。
フリーアドレスを全社で導入するのか、特定の部署やチームに限定するのかを明確にすることも重要です。すべての業務に適しているわけではないため、まずは
企画部門や営業部門など、フレキシブルな業務が多い部署から導入
試験運用を通じて社内の反応を確認
といった形で、段階的に導入するのもひとつの方法です。
「完全自由席にするのか」「一定のローテーションルールを設けるのか」など、運用方針が曖昧なままだと、かえって混乱を招くことがあります。
毎朝出社時に席を予約するスタイル
チーム単位でエリアを指定する方式
など、自社に合った方法を選びましょう。運用ルールは書面化し、誰でも確認できるようにしておくと安心です。
コロナ禍を経た今、共用スペースでの衛生対策は欠かせません。
席の間隔を十分に取る
デスクのアルコール消毒を義務付ける
飛沫防止パネルの設置
など、安全面に配慮したレイアウトやルールづくりが必要です。社員が安心して使える環境を整えることが、制度の定着にもつながります。
実際のフリーアドレスの運用では、ツールの活用が制度の使いやすさを左右します。フリーアドレス環境においては以下のようなITツールを導入することで、業務が遂行しやすくなるでしょう。
居場所管理ツール
社員が今どこに座っているか、リアルタイムで把握できるシステムです。チームメンバーの所在確認や空席検索がスムーズになり、無駄な時間を減らせます。
クラウドPBX
オフィスの電話機能をクラウド化し、外出先や自宅でも内線通話が可能になります。座席に縛られないフリーアドレスには相性の良いツールです。
ペーパーレス化ツール
紙資料のスキャン・共有・保存をクラウド上で一元管理。個人デスクがない環境でもスムーズに情報共有ができ、情報の分散や紛失リスクも減らせます。
こうしたツールを併用することで、フリーアドレスの効果を最大限に引き出し、快適で生産性の高い働き方を実現できます。

フリーアドレスをスムーズに運用するうえで、社員の居場所や郵便物の管理に関する課題は意外と多く見落とされがちです。そこでご紹介したいのが、郵便DXサービス『トドケール』。トドケールは、オフィスに届く郵便物をデジタルで一括管理できるサービスです。社員がオフィスに常駐しない働き方が増える中、「郵便物の取り忘れ」や「受け取りのためだけに出社する」といったムダを減らし、業務効率化に貢献します。
トドケールの主な特徴は以下のとおりです。
郵便物のスキャン通知
届いた郵便物の画像をクラウド上で確認可能。外出先や在宅勤務中でも、誰宛に何が届いたかすぐにわかります。
仕分け・再配達の依頼もオンラインで完結
郵便物を別拠点や自宅へ転送したい場合も、システム上で簡単に手続き可能です。
セキュリティ面も安心
業界基準のセキュリティ環境下で情報が管理されるため、機密性の高い郵便物にも対応可能です。
フリーアドレス導入後、「誰宛の郵便物がどこにあるかわからない」「席が流動的で紙のやりとりが非効率」といった課題を感じている企業にとって、トドケールは頼もしいパートナーとなるはずです。
新しいオフィス形態として人気を集めるフリーアドレス。本記事ではフリーアドレス導入のメリット・デメリットの解説を行いました。
フリーアドレスは業種や部門にもよりますが、導入方法や運用方法を正しく規定できれば企業に多くのメリットをもたらしてくれます。自社にとって最適なスタイルを見つけるチャンスでもあるのでぜひ積極的に検討していきましょう。
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