更新日:
2024/4/12

さまざまなアプローチで働き方改革が行われている昨今、会社に決まった席をつくらないフリーアドレスのスタイルは、日本でも浸透しつつあります。部署や職種の壁を越えたつながりが生まれ、生産性向上も期待できる施策ですが、運用方法を誤ると失敗しやすいという難点もあります。
今回はフリーアドレスが失敗する原因を検証しつつ、成功するためのポイントをご紹介します。
フリーアドレス化が注目されているのは、テレワーク導入が進み、働く環境や働き方が変化しているからです。ICT技術が発展し、紙の書類ではなく電子データを利用する場面も増えています。モバイル端末があれば、いつでもどこでも業務を進められる環境が整い、フリーアドレス化しやすい状況になりました。
フリーアドレスとは、従来のオフィスのように社員それぞれが持つ個人専用のデスクはなく、フロアに長机や椅子が設置されているところに、自由に作業場所を選んで仕事をするスタイルで、イメージとしてはカフェのような感じです。
ソファなどがあるスペースが用意されていることもあり、柔軟なオフィス形態が人気を集める理由の1つでもあります。
ノートPCと無線LAN、もしくはタブレット端末やスマートフォンなどを使用するモバイル端末を多く使用する職場で効果を発揮しやすいのがフリーアドレスの特徴です。
ノートPCを社員に貸与したり、すべてのフロアにWi-Fiを導入したりして、どのエリアでも仕事ができるよう工夫をしているオフィスもあります。
フリーアドレスのメリットは主に以下の3つがあります。
社内のコミュニケーションを活性化できることが、フリーアドレスを導入する大きなメリットの1つです。
固定席の場合、一般的に、部署単位で1島といったように、組織単位で区画分けをしてレイアウト組み、予め誰がどこの席に座るのかを指定します。
そのため、情報交換や日々のコミュニケーションを取る相手が、特定の人に限定されやすいという傾向があります。
フリーアドレスでは自由に席を選べるため、あまり話したことがない他部署の従業員とも接する機会が多くなります。直接的な関わりが少ないからこそ、「気兼ねなく意見を交換しやすい」と感じるケースもあります。
上司と部下の席も区別がなくなることで、組織における縦の障壁が希薄になり、以前よりもコミュニケーションを気軽に取れる社風になることが多いです。
フリーアドレスでは固定の席がないため、働き方に合わせたスペースの活用ができます。現状と同じオフィスのまま、余ったスペースをオンラインMTGに対応するエリアにしたり、休憩スペースにしたりと、変化していく働き方に合わせて様々な用途で使用することが可能になります。
またプロジェクトごとに同じチームの社員で近い席になるように席替えができるのもフリーアドレスのメリットです。プロジェクトメンバー同士の距離が近くなれば、ミーティングを行うための準備時間が削減でき、プロジェクトの進捗確認もすぐに行うことができるため、生産効率向上にも繋がります。
在席率に応じてオフィスを有効活用できることもフリーアドレスのメリットです。フレックスタイム制を導入している、短時間勤務のパートタイマーが多い、コロナ禍においてはテレワークを推進している企業は、特に大きなメリットを感じることでしょう。
フリーアドレスはその時間にオフィスにいる従業員の席があればよいため、テレワーク、外回りなどその場にいない従業員の席を常に確保しておく必要はありません。つまり全社員分の座席を用意する必要がないのです。
日中外出することの多い営業部の席やミーティングで離席することの多い企画部の席は座席の数を社員数より少なめに設定する、設計部のような1日中デスクから離れない部署の席は社員数と同等の数に設定する、など使用実態に合わせて最適化することでスペースの効率化を図ることができます。
フリーアドレスが失敗する原因は主に次の3つが挙げられます。
単に最近のはやりだからと目的をもたずにフリーアドレス制を導入すると、その必要性や妥当性が従業員に理解されず、座席の固定化・集中力の低下などから業務効率が悪くなるケースがあります。
フリーアドレスは業務を効率化するための手段として運用するものであり、明確な目的なしに導入すると現場の混乱を招きます。そのためなぜフリーアドレスを導入したのか?何のために座席を自由化するのか?といった導入理由や目的を事前に明確化し周知することが重要です。
コミュニケーションが活発になりますが、人によっては集中しづらい環境になってしまうことも懸念されます。オープンすぎる環境は人によっては集中力が低下する恐れがあります。
また個人の席のように自席に好きなものを置いたりすることができずに、自分が仕事をしやすい環境を常に維持できないため、業務効率が下がるケースがあります。
自席が固定されていれば、座席表をもとに尋ねることで本人と話ができます。不在であれば、メモを置くなどしても何の問題もありません。
しかしフリーアドレスの場合、誰がどこにいるのかが決まっていないため、対象人物に直接会いたい場合、探し歩くことになるのです。
また部署という概念が希薄になりやすいので、部署内でのコミュニケーション不足への不安を感じるケースもあります。
メールやチャットで済む用件ならばどこにいても支障はありません。しかし直接コミュニケーションを取りたい際、相手がどこにいるのか分からない状況は手間がかかります。
フリーアドレスを成功させるためのポイントを3つ解説します。
導入する範囲を決定します。フリーアドレスはすべての業種や部署に対して向いているわけではありません。
そのため、いきなりオフィス全体で始めるのではなく、営業部門など、フリーアドレスによるメリットの大きいところから導入するのがおすすめです。
一定の成果が得られたら、ほかの部署への拡大も検討しましょう。
フリーアドレスでは社員同士のコミュニケーションが活性化されますが、社員同士の雑談が増えて業務に支障をきたす場合があります。
またフリーアドレスのオフィスでは、パーテーションをなくして人が自由に移動できるケースが少なくありません。人の行き来が多いオープンな空間で、しかも雑談も多いとなると、集中力が削がれて仕事が進まないケースもあります。
これらが原因で業務効率が落ちるのを防ぐためには、集中できる環境づくりも必要です。いつも同じメンバーが固まらないよう、席をランダムに振り分ける日をつくったり、集中したい人のために個別ブースを設けたりといった工夫をすることがおすすめです。
フリーアドレスでは席が自由化されるため、直接口頭で話したいことがある場合に目的の人物が中々見つからず、オフィス内を探しまわり手間がかかるケースがあります。
このような問題に対応するためには座席管理ツールの導入をおすすめします。オフィス内の席の空席状況や誰がどの席で作業しているかといった情報をPCやiPadから確認できるようになり、目的の人物を探すのにも手間がかかりません。
フリーアドレス制度は、よりフレキシブルな働き方が叶う新しいオフィス形態です。せっかく導入すらなら、失敗して廃止とならないために、失敗につながる原因を理解して先手を打つようにしましょう。
自社にとって最適なオフィス形態を見つけるチャンスでもあるので、今回ご紹介した失敗原因と成功するためのポイントを参考にぜひ積極的に検討していきましょう。
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